華やかなステージから自然に囲まれた大地へ。きらびやかな舞台で歌い踊っていた元アイドルがマイクを置き、次に選んだ舞台は、畑だった。その理由は。取材した。

「アイドル活動を東京でしていました」

フルーツの産地としても知られる福岡・うきは市。「ここはワイン用のブドウを育てている場所です。ワイン用の品種を育てているのは珍しいと思う」とスタッフを出迎えてくれたのは、野口美咲さん(34)。現在は、ワイン用のブドウを育てている。

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「アイドル活動を東京でしていまして、そこから移住してきたかたちです」と笑う野口さん。2022年まで6年間、“アイドル”だった。

CDも発売するなど精力的に活動していたというが「年齢も年齢だし、区切りをつけて自分のやりたいことを始めてみようかなと福岡を選びました」と30歳を機に新たな挑戦を決意したと話す。

田舎暮らしへの憧れもあり福岡に移住した野口さんは、ビジネススクールで2年間、農業を学んだ。

そんな野口さんが目指すのがワインだ。「うきは市って。カキが有名なんですけど、2番目に耕作面積が広いのがブドウ。ブドウがすごく名産であるなかで『ワイナリーがない』っていうのが、課題まではいかないけど『あったらいいよね』というのがあって」と目の前のブドウ畑を眺める。

「うきは市産のブドウでワインを作りたい」

その夢に向かって2025年3月、ブドウの苗を植えた野口さん。「いま、ここまで枝が伸びてきているんですけど…」と指差すブドウの枝。

収穫できるようになるまであと1年半ほどかかるという。

野口さんは、目標に向かって栽培を続ける一方、知識と経験を積むため地元のブドウ農家のもとへ頻繁に足を運んでいる。そのひとりがブドウ農家の大石優子さん。

「これって、こっちの枝を伸ばしていく感じ?」と野口さんが尋ねれば「先端を長くとらないかんけん、これ切っていいよ」と大石さん。どのように育てれば美味しいブドウが実るのか?経験豊かな先輩に教わりながら技術を磨いていく。

「本当に果樹は、年間で見ないといけないから、収穫とか肥料を蒔いたりするとき以外、農家は何をしているの?と、全然分からなかったけど、やっと点と線が繋がった」と話す野口さん。大石さんも後継者の出現に「野口さんの存在は、希少ですよね。農業になかなか入ってくる人がいないなかで、入って来られて、代々やってくれるともっといいかなぁ」と期待を寄せる。

袋詰め中のホウレンソウをつまみ食い

現在は、うきは市の『地域おこし協力隊』としても活動している野口さん。農業の魅力発信や農家の手伝いを行っている。

この日、野口さんが訪ねたのは、ホウレンソウ農家の綾部葵さんの作業場。袋詰め作業の手伝いだ。「根っことか取って、きれいにものを袋に入れて、出荷できる状態にしています」と話す。

袋詰め作業中の野口さん、「チェック」とひとくちつまみ食い。「おいしいです」。生産者の綾部さんも思わず笑顔になる。地域の農家と関わるなかで、農業の楽しさを実感しているのだ。

「チェック」とホウレンソウをひとくち
「チェック」とホウレンソウをひとくち

綾部さんも「黙々とやりがちなところに、野口さんという喋る方がいらっしゃったら会話が弾んで、農作業ってこういうところが楽しいんだなと思います」と歓迎する。

「他人だけど、助け合って家族みたいに生活をしていくというのが、いまの生活のすごい楽しいところ」と話す野口さん。アイドルを卒業しセカンドキャリアとして選んだ農業の道。全く違うステージに見えるが、取り組む姿勢や思いは、アイドル活動と共通するものがあるという。

「アイドルしているときの私のポリシーは『ファンの皆さんが喜ぶことをしたい、笑顔にしたい』というのがすごくあって。それって農業も一緒だと思うんです。誰かが美味しいって言ってくれるとかを思いながら作るというのは、すごい共通する部分」

目標は2028年、オリジナルワインの完成。

「住んでたった2年ですけど、すごくうきは市のことが大好きになっているので、名産の1つが新たに生まれたらいいのかなと思っています」

(テレビ西日本)

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