「南部鉄器」を名乗る偽広告がSNSで拡散し、偽物のフライパンを購入してしまう被害が相次いでいる。動画では「高品質」をうたっているが、実際は「あまりにも軽く」中国語の説明書に、岩手県の南部鉄器組合も「もちろん偽物」と完全否定した。今回の動画は「イット!」が2025年夏に取材した偽広告と内容が極めて似ていて、製造元名だけ変えて販売した疑惑も浮上した。組合は安全性が不明のため、使用しないよう呼びかけている。
「南部鉄器」を名乗る偽広告がSNSで拡散し被害も…
生活に身近な商品をターゲットに、SNSで被害が広がり続けている「偽広告」問題。
イット!の取材に、新たな被害を訴えたのは、広島県に住む横川さんだ。
被害にあった横川マリリンさん:
スルスル料理しやすくって、そういうフライパンが欲しいなと常々思っていたところに、ちょうど理想とする動画が流れてきたので。
SNSに表示されたのはフライパンの広告動画。その中の“ある謳い文句”に、横川さんは強く惹かれたという。

被害にあった横川マリリンさん:
何より『南部鉄器』というブランドに惹かれてしまったので、ちょっと冷静じゃなかったかもしれません。
広告動画には、岩手県の伝統工芸品である「南部鉄器」と画面に大きく書かれていた。

「こちらは南部鉄器の職人が作った無塗装の純鉄ノンスティックフライパンです」
動画では様々な料理が焦げ付くことなく調理され、“人間国宝の弟子が監修”“100年使える”などと高品質なフライパンであることが強調されていた。

被害にあった横川マリリンさん:
すごいスルンスルン、焦げ付かずに調理している動画だったから。
さらに動画では南部鉄器の魅力の1つ、表面から溶け出した“鉄分が補給できる”こともアピール。
「調理中に自然に放出される鉄イオンが毎日の推奨鉄分摂取量、ほうれんそう三株分を満たし、貧血予防に役立ちます」

被害にあった横川マリリンさん:
鉄分も取れるしということで、ちょっと普通のフライパンよりは高いけど、一生使えるんだったらいいかなと思って買いました。
ところがこれは『偽広告』だったのです。
地元・岩手県の組合は「南部鉄器ではない」ときっぱり否定した。
水沢鋳物工業協同組合・戸田 努 事務局長:
もちろん偽物です。(広告の商品は)南部鉄器じゃないですよね。動画のようなツルツルしてるフライパンはあまりない。そもそも「手打ち鍛造(たんぞう)製法」と書いてあるが、南部鉄器は砂で固めた「鋳型」に溶けた鉄を流し込んで作る「鋳造」。

砂で固めた「鋳型」に溶かした鉄を流し込んで作る「南部鉄器」。
完成品にも砂の質感が残り、表面がザラザラとしていることが特徴だ。

しかし偽広告では、加熱した鉄を職人がガンガン叩いて製造するなど南部鉄器とは作り方に明らかな違いが・・・さらにフライパンの表面も“ツルツル”だ。
そもそも「南部鉄器」を名乗れることができるのは、組合に加盟している企業が製造した商品だけだ。

水沢鋳物工業協同組合・戸田 努 事務局長:
偽物を南部鉄器と名乗って販売していることに関しては、憤りを感じております。
“南部鉄器ブランド”に惹かれ購入した横川さん。
届いた商品を受け取った瞬間、騙されたことに気づいたといいます。

被害にあった横川マリリンさん:
受け取った時に、あまりの軽さに「ああやってしまった」と。
岩手県産のはずのフライパンに附属していたのは、中国語の説明書だった。
被害にあった横川マリリンさん:
もちろん南部鉄器じゃないし鉄製でもなく。怪しいので、なんか毒が出てきたら怖いので、一回も使えないものが来てしまいました。
組合に加盟している企業には「偽広告を見て購入してしまった」との問い合わせが多く寄せられていて、組合ではHPに『注意喚起』を掲載している。
2025年に番組が取材したものとソックリと判明…
そしてこの偽広告をめぐっては新たな事実も発覚した。
このフライパンの偽広告は、2025年7月にイット!が報じたものとソックリなのだ。
この時は横浜市にある老舗メーカー製を名乗っていたが、イット!の放送後、製造元だけを“南部鉄器”に変え、販売を続けた可能性が・・・。
しかしフライパンが「フライベン」と表記されるなど、日本語がおかしい点はそのまま残り、さらに調理法の紹介が「炒める」「焼く」「煮る」に続き、「爆発」と、揚げ物の写真に物騒な文言が添えられているところも変わっていない。
取材班は、偽広告の通販ページに記された中国の業者の連絡先に電話をしたが・・・。

(♪~ ニーハオ ○×△□との自動メッセージ音)中国語で「あなたがかかけた番号は存在していません」とのアナウンスが流れました。
そして被害を訴える声は、南部鉄器の地元・岩手県からも・・・。

母親がフライパンを購入した岩手県の女性:
(購入した母は)やっぱり南部鉄器は丈夫だってことと、あと岩手県民なので憧れがあったと。こんな粗悪なモノを売りつけて、お金儲けするなんて絶対に許せないなと。
高い機能性とデザイン性から今や、海外でも人気の高い南部鉄器を狙った「偽広告」。
南部鉄器の組合では“もし間違って購入しても使用しないで欲しい”と訴えている。

水沢鋳物工業協同組合・戸田 努 事務局長:
偽物のフライパンはどのような物質の、成分の製品か分からないので、可能な限り使用は控えていただければと思います。
(「イット!」2月4日放送より)
