静かに、しかし確実に広がる現代の性感染症。その中でも特に注目を集めているのが梅毒だ。「昔の病気」と思われがちだが、実は今、私たちの身近で急速に感染が拡大している。なぜ今、梅毒が再び脅威となっているのか。その実態と私たちにできる対策を考える。

見えない脅威「梅毒」の症状と進行

梅毒の恐ろしさは、その症状の進行にある。初期症状は手や足に赤い発疹が出るが痛みはなく、一見軽微に見える。

提供:日本性感染症学会
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しかも、この発疹は自然に消えるため、多くの人が治ったと勘違いしてしまう。実際は、この後が本当の恐怖の始まりだ。この潜伏期間中、感染者は知らぬ間に他人に感染させる可能性がある。さらに悪化すると、脳や内臓にまで影響が及び、取り返しのつかない事態に陥る。

キスでも感染する梅毒

梅毒の感染経路について、多くの人が誤解している。性行為だけでなく、キスでも感染する可能性があるのだ。

さらに梅毒の感染率は高い。あるクリニックでは、感染者と性行為をした場合には30%~40%くらいの確率で梅毒に感染するとしている。これは1度の性行為で感染する確率なので、感染率は非常に高いと言える。また、コンドームを使用しても完全には防げないという事実も、多くの人が知らない重要なポイントだ。

若者の無知と検査の重要性

梅毒の急増には、若者の無知や認識不足も大きく関係しているようだ。テレビ長崎が掲載した記事【「過去の病」梅毒が現代を侵食 デートアプリ時代の落とし穴 感染急増の真相に迫る】には660を超えるコメント(※2024年7月31日現在)が寄せられた。Yahoo!ニュースのコメントより一部抜粋して紹介する。

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ある親は、梅毒に感染した17歳の娘の反応にショックを受けたという。

「『薬飲めば治るんでしょー?』と悪びれる様子なく、ただの湿疹程度にしか思っていなかったようです。母親は泣いてましたけど、今の時代の子供達にどう言ったら響くのか。梅毒のニュース読んだとて“他人事”と気にもしないのかな。 家庭はもちろんだが、学校での教育も重要かと思う。 自分の子供にばっかり言っても子供の周囲で軽視されていたら感染者は増える一方だ」との声が寄せられている。(一部抜粋)

この事例は、性教育の重要性を強く示している。学校や家庭での適切な教育が、感染拡大を防ぐ鍵となるだろう。また、定期的な検査の重要性も指摘されている。保健所では無料で匿名検査が可能だ。

検査経験者と見られるユーザーは「みんなすぐに検査したらいいのに。保健所で無料で検査してくれますよ。」とコメントしている。

国レベルでの検査体制の整備

社会全体で取り組むべき課題として、学校や職場での定期検査の導入、そして包括的な性教育の充実が求められている。梅毒は単なる個人の問題ではなく、社会全体で向き合うべき重要な健康問題なのだ。

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記事に寄せられたコメントの中には「今は野放し状態だけど、学校、職場、区の健康診断などで通常の健診と共に性病検査も無料で受けられるようにすれば、重症化する前に発見出来たり、他人に移す前に治療できるわけだから、そういった施策も必要な時代になってきているのではないかなと思う。」との声もあった。

さらに、少子化対策の観点からも性感染症対策は重要だと考えるユーザーもいる。

「国も少子化対策を真剣に考えているなら、子育て支援などの点数稼ぎをするばかりではなく、検査や治療を奨める対応を。梅毒などの性病に掛かったまま妊娠した時の母子のリスクを考えれば、放置することは絶対にしてはいけない。」(コメント一部抜粋)

梅毒の感染拡大を防ぐためには、学校教育における包括的かつ実践的なアプローチが不可欠だ。年齢に応じた段階的な教育プログラム、実践的な知識とスキルの習得、そして定期的な健康診断と性病検査の実施。これらの取り組みを通じて、生徒たちは梅毒を含む性感染症に対する正しい知識と対処能力を身につける必要があるだろう。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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