鹿児島県内の中小企業経営者にとって心強い味方となっている「よろず支援拠点」をご存じだろうか。中小企業庁が全国に設置するこの相談所は、様々な経営課題に対して専門家が無料でアドバイスを行う場として注目を集めている。特に鹿児島県の「よろず支援拠点」(通称:カゴよろ)は、2024年度までの5年間で相談件数の伸び率が全国1位を達成するという快挙を成し遂げた。

全国から注目される「カゴよろ」の実績

鹿児島市城山町に位置する「カゴよろ」。ここでは日々、県内の中小企業経営者が訪れ、経営相談を受けている。2024年度の相談件数は41,440件と福岡県に次ぐ全国2位。さらに注目すべきは、5年前と比較した件数の伸び率が6.4倍と全国トップであることだ。

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この実績を受け、11月18日には中小企業庁の山下隆一長官自らが視察に訪れた。長官は「カゴよろ」のチーフコーディネーターである森友伸和さんと意見を交わし、鹿児島の成功事例を全国に広げる可能性について議論した。

山下長官は「成長余力も当然あるし、変化余力もすごく大きい。だから成長経済の主役は中小企業なんです」と語り、「より鹿児島が全国を引っ張るぐらいの、明治維新ではないがそういう形になってほしい」と期待を寄せた。

多様な専門家が無料でサポート

「カゴよろ」の強みは、様々な分野の専門家が揃っていることだ。現在、元自治体職員や税理士、デザイナー、IT技術者など、33名の専門家が所属している。資金繰りから最新のSNS活用法まで、中小企業が直面するあらゆる課題に対応できる体制を整えている。

取材日にも、いちき串木野市の老舗醤油店から女性が訪れ、新商品のパッケージについてアドバイスを受けていた。松藤味噌醤油醸造工場の上村めぐみさんは「自分1人で考えると分からないことばかりだが、アドバイスいただけるので安心感があった」と話す。

対応したカゴよろコーディネーターの前堂恵斗さんは「会社の強みをいかに客に伝えるか、アピール方法をうまくやっていくことで、会社の売り上げ、利益向上につながっていく」と説明する。

中小企業が直面する課題に対応できる体制を整えている
中小企業が直面する課題に対応できる体制を整えている

成功の秘訣は徹底した「伴走支援」

なぜ「カゴよろ」はここまで相談件数を伸ばすことができたのか。森友チーフコーディネーターは「市町村にこれだけ配置しているのと伴走支援をやっている」と語る。県内の隅々まで支援の手を差し伸べる体制と、一度きりではなく継続的にサポートする「伴走型」の支援が、多くの中小企業から信頼を得ている要因だ。

森友さんは「社長になったり今から創業する方にとっては挑戦だと思う。挑戦を横で支え合う、そういうパートナーになっていきたい」と意気込みを語る。そして「決して裏切らないのでぜひ頼ってもらいたい」と、県内の中小企業に向けてメッセージを送った。

中小企業が直面する多様な課題に、無料で専門的なアドバイスを提供する「カゴよろ」。その活動は地域経済の活性化に大きく貢献している。今後も県内企業の成長と挑戦を支える強力なパートナーとして、さらなる発展が期待される。

(動画で見る:鹿児島の中小企業を支える『カゴよろ』が明かす成功の理由

鹿児島テレビ
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