小泉防衛相は9日、宮崎県の航空自衛隊新田原基地を訪れ、最新鋭ステルス戦闘機F-35Bの垂直着陸訓練を視察した。

F-35Bの訓練内容の説明を聞いた他、F-15との騒音の違いなどを視察した小泉防衛相は「F-15と比べると発生する音が大きく、長期間にわたるものであることも実感した」と述べた。
その上で「我が国が戦後もっとも厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、F-35Bの早期戦力化は、日本の空を守るに当たって非常に重要だ」と強調した。

F-35Bは、短距離離陸・垂直着陸が可能な機体で、政府は、護衛艦「かが」と「いずも」に搭載して運用できるよう、準備を進めている。
周辺国の一部は日本周辺での軍事活動を拡大・活発化させていて、中国は2025年11月、3隻目の空母「福建」を就役させた。
空母3隻体制の確立によって整備・訓練・任務のローテーション運用が可能となり、常に1隻が任務のために展開可能な態勢が構築されるため、防衛省内では「脅威が増した」との指摘もある。
中国は2025年6月、太平洋上で空母2隻を同時期に活動させているが、3隻体制になったことでより遠方の海空域における作戦遂行能力がさらに向上しているとみられる。
厳しさを増す日本を取り囲む安全保障環境に対応するために進められているのが、自衛隊の護衛艦「かが」「いずも」の“空母化”改修だ。
F-35Bを搭載することで、「かが」「いずも」は日本列島を囲む海洋上の「動く航空基地」として領土・領海・領空を守る警戒・監視態勢を一層強化できるようになる。
ある幹部自衛官は「太平洋は、広大な空域に対して飛行場が少ない。その中での対領空侵犯措置を含めた防空体制を強化するというところだ」と、「動く航空基地」の有効性を強調する。
航空機の離着陸に対応するための「かが」「いずも」改修と同時に進められているのが、短距離離陸・垂直着陸が可能で滑走路が短い護衛艦の甲板でも運用できるF-35Bの運用訓練だ。
F-35Bの導入によって、これまで陸上にあり空自が管制する十分な距離の滑走路だけで離着陸してきた空自の戦闘機パイロットは、短距離かつ航行して前後へ、波や風によって上下左右へと文字通り“動く”航空基地の甲板上での離着陸技術を習得するとともに、海自による管制・誘導への対応も習熟しなければならない。
一方、「動く航空基地」となる護衛艦を運用する海上自衛隊にとっても、基本的には垂直方向で離着陸しホバリングすることで船と“歩調”を合わせられるヘリとは異なり高速で滑走して離陸する航空機への対応と、その管制技術を習得する必要がある。
「空自に海軍種の運用を教えないといけない。かなり難しいだろう」(海自ヘリパイロット)との声も聞かれるが、ある幹部自衛官は「空自と海自は運用面も含めて連携している」と強調している。

F-35Bは、小泉防衛相が今回視察した宮崎県の新田原基地に5機配備済みで、今年3月までに8機へと増備され、最終的には42機導入の予定だが、去年初めて配備された戦闘機であり、パイロットの技量維持と資格取得のため訓練は当面、間断なく続く見込みだ。
夜間訓練も必要で、防衛省は「鹿児島県西之表市にある無人島・馬毛島に建設中の空自基地完成後は、原則として新田原基地では技量維持のための夜間垂直着陸訓練は行わない」ことと、「練度向上のための夜間垂直着陸訓練は新田原基地で行わない」ことの2点を地元負担軽減策として打ち出した。
しかし、新田原基地の地元からは、騒音被害などへの懸念が根強い。

視察を終えた小泉防衛相は「降下時の旋回を海上で行うよう飛行ルートの調整、実施する曜日・時間帯について関係自治体に事前に通知する措置を、できるだけ早期に準備を整え実行する」と強調。
さらに「地元に対する丁寧な説明と適切な情報提供をしっかりと行っていく」と述べ、基地周辺の住民と自治体に理解を求める考えを示した。
(フジテレビ政治部防衛省担当 鈴木杏実)
