新潟県村上市で行われていた縄文時代後期の『上野遺跡』の発掘調査が終了することになり、遺跡とそこから出土した土器などが一般に公開された。新潟県内最大級とも言われる遺跡からはどんなことがわかったのだろうか…

約4000年前!縄文時代後期の“上野遺跡”

新潟県村上市を通る国道7号脇にある上野遺跡。約4000年前の縄文時代後期の遺跡で、2017年から発掘調査が実施されている。

上野遺跡
上野遺跡
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調査していた県埋蔵文化財調査事業団の加藤元康専門調査員は、「縄文人の生活のスタイルが、食料をどう確保するのか、それをどう保存し、長期的に自分たちの生きる糧にするのかということ。色んな生態系、山、川、海にアクセスしやすい場所というのを選んで生活していた」と上野遺跡の立地について説明する。

これまでに250棟以上の建物の跡や約5000もの土器などが発見されていることなどから、この時代としては県内最大級、さらに地域の拠点としてほかの地域との交流もあったことがわかっている。

9年間にわたって行われてきた調査が25年度で終了することになったため、11月上旬に一般向けに遺跡を公開。幅広い年代の人が見学に訪れていた。

見学した児童は「楽しかった。昔、ここにたくさんの人が住んでいたとは思えない」と話し、また他の女性は「こういうものを使って人が住んでいたんだなと、昔を想像するとすごいことだと驚いている」と感想を語った。

出土した土器や石器を実際に触ることも!

実際の遺跡のほかにも、これまでの調査で出土した土器や石器などが展示され、中には実際に手で触ることができるものもあり、訪れた人たちは4000年前に生きた人たちの暮らしを感じとっていた。

出土した土器や石器
出土した土器や石器

土器に触れた男性は「触れる機会はまずないので、触っていいというのは楽しい。(縄文土器は)美的センスというか芸術的センスが昔からあったというのがおもしろい」と話す。

加藤専門調査員は「4000年前のものが意外と丈夫、割れていないとか、縄目の細かいもの、太いもの、深いもの、色々違いがあるんだというのを触ることによって知ってもらいたい」とその狙いを話す。

どのような暮らしをしていた?調査結果取りまとめへ

この上野遺跡で人々はどのような暮らしを営んでいたのか、県埋蔵文化財調査事業団は今後、調査結果を取りまとめていく方針だ。

「県内の中でも大規模なので、その辺の実態として縄文人がどう生活をしていたかというのを明らかにしていく。具体的にどういった交流していたかというのを明確にしていく作業が今後求められると思う」と加藤専門調査員は話す。

一方、発掘が行われた遺跡は、日本海東北自動車道の建設予定地だったため、埋め戻されて工事が進められる予定だ。

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NST新潟総合テレビ
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