工事不要でコンセントに挿すだけで利用できる「据置型Wi-Fiルーター」が、手軽なネット環境整備の選択肢として注目される一方、契約トラブルが全国で増加している。

国民生活センターによると、2025年度は9月末までに全国の消費生活センター等に寄せられた相談件数は573件(2024年度同期は458件)に上る。また、2020年度は11.3%だった契約当事者が70歳以上の割合は28.8%と、年々増加傾向にある。

据置型Wi-Fiルーターは、モバイル回線を利用し、SIMカードを挿入してコンセントに接続するだけで使用可能。光回線のような工事は不要だが、設置場所の住所登録が必要で、利用できる場所は限定される。障害物の影響で通信が不安定になるケースもある。

一般的に、据置型Wi-Fiルーター専用の料金プランと、ルーター本体の購入契約またはレンタ ル契約をセットで行う必要がある。

国民生活センターによると、相談事例では、「実質無料」と説明され契約したが、途中解約で本体代金を請求されたケースが目立つ。

ある70代男性は、携帯電話ショップで「本体約7万3000円は36回払いだが、毎月約2000円割引で実質無料」と説明され契約。しかし通信料金が想定より高く、解約を申し出ると「3年間継続しなければ、ルーターの本体代金を支払う必要がある」と告げられた。

他にも、既に自宅にネット環境があるにもかかわらず、説明不足で不要な契約をした事例や、通信速度が速くなると勧誘されたが実際は不安定だったケース、電話勧誘で説明書面が交付されず契約内容が異なっていた事例も報告されている。

国民生活センターは、以下の点に注意を呼びかけている。

・自宅のネット環境や利用状況を確認し、本当に必要か検討する。
・契約前に、通信料金・本体代金・解約時の費用を明確に確認する。
・「実質無料」は契約期間を満了した場合のみ適用され、途中解約では残債が発生する。
・契約後に不安やトラブルがあれば、速やかに契約先事業者や消費生活センター(消費者ホットライン188)へ相談する。

据置型Wi-Fiルーターは便利な一方、契約内容が複雑で誤解を招きやすいケースがあり、契約には慎重な判断が求められる。

プライムオンライン編集部
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