岩手県内のバレーボール界を長年リードしてきた盛岡南高校と不来方高校が2025年春に統合して誕生した「南昌みらい高校」。春の高校バレー県大会を前に、この新チームが第2シードとして注目を集めている。県内最多の41人が所属する大型チームは、それぞれの高校の伝統と強みを融合させ、統合初年度での全国大会出場を目指している。

名門2校が一つに、伝統受け継ぐ

南昌みらい高校は、春高バレー県大会で優勝10回の盛岡南と、14回の不来方という輝かしい実績を持つ2校が統合して2025年春に誕生した。

南昌みらいバレー部の部員数は県内最多41人
南昌みらいバレー部の部員数は県内最多41人
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守備の要は“元不来方”、攻撃の中心は“元盛岡南”。
岩手県のバレー界をリードしてきた両雄が一体となり、現在の部員数は県内最多の41人を誇る。

守備の要、元不来方の平賀主将

初代キャプテンを務めるのは、元不来方の平賀永清選手(3年)。
リベロとして守備の要を担う平賀主将は、積極的に声を掛けながら、チームを一つにまとめてきた。

初代キャプテン・平賀永清選手(元不来方
初代キャプテン・平賀永清選手(元不来方

「(2校で)決まりとかが全然違ったりして、大変な所はあった。『良い伝統を残して、良いチームをつくりたい』ということで話し合って決めてきた」と平賀主将は語る。

強いリーダーシップの土台になっているのは、高い運動能力だ。中学時代はバスケ部と陸上部を掛け持ち、走り高跳びでは東北大会に出場しているという。

チーム得点源は元盛岡南のエース

チームの得点源となっているのは、元盛岡南の竹花心人選手(3年)だ。
身長169cmながら、最高到達点は311cmに達する跳躍力を武器に、鋭いスパイクを打ち込む。

2024年の県大会決勝では、チーム最多の23得点をマークした実力者だ。

攻撃の中心・竹花心人選手(元盛岡南)
攻撃の中心・竹花心人選手(元盛岡南)

竹花選手は「今年も、速い攻撃で相手のブロックを惑わして、1点1点積み重ねていきたい」と意気込む。

身近な憧れが導いた道

平賀主将と竹花選手、二人がそれぞれの高校を選んだ理由には共通点があった。

平賀主将は「兄(央清さん)が不来方高校でバレーをして、決勝でプレーしている姿を見て『自分もここでバレーをしたい』と思ったのがきっかけ」と明かす。

南昌みらいバレー部の練習
南昌みらいバレー部の練習

竹花選手も「いとこ(中村健人さん)の存在もあって、格好良いなと思い、『自分も盛岡南のバレーボールがしたい』と思って入学した」と語る。

竹花心人選手(元盛岡南)
竹花心人選手(元盛岡南)

身近な憧れの人が輝いた場所、それが不来方バレー部であり、盛岡南バレー部だった。南昌みらいの誕生で、2人の夢が重なった。

急成長のセッターが紡ぐ多彩な攻撃

チームの武器は多彩な攻撃を繰り出すコンビバレーだ。特にセッターから離れた位置で強く打つ速攻「Bクイック」は、スピードと幅がある。

その攻撃の司令塔を務めるのは角掛利唯選手(3年)。
セッター歴はまだ1年に満たないが、急成長を遂げている。

司令塔を務めるセッター・角掛利唯選手
司令塔を務めるセッター・角掛利唯選手

角掛選手は「スパイカーが気持ち良く打ってくれるように、打ちやすいトスを意識して上げている」と話す。

角掛選手と言えば、2024年の取材で一発芸で盛り上げてくれたムードメーカーだ。

2024年の取材時、一発芸で盛り上げてくれたムードメーカー角掛選手
2024年の取材時、一発芸で盛り上げてくれたムードメーカー角掛選手

一方で、バレーには常に真剣だ。

母と祖母も、春高バレー全国大会でプレーした実績を持ち指導者を務めている、まさにバレー一家。
1歳下の弟・良唯選手はライバル「一関修紅」に所属している。

「小学校から一緒にやってきたというのもあって、最後お兄ちゃんとして、勝てるように頑張りたい」と話す角掛選手。

伝統を背負い、新たな歴史の一歩へ

春高バレー県大会が秋に開催されるようになってから15年間、決勝戦には全て「盛岡南」か「不来方」の名前があった。この伝統を引き継ぐ南昌みらい高校の初出場に、期待が高まる。

平賀主将は「盛岡南と不来方の思いをどちらも引き継いで、一つにして、勝ちにつなげていきたい」と力強く語る。

笑顔が絶えない「南昌みらい」の選手たち
笑顔が絶えない「南昌みらい」の選手たち

春高では「勝利あるのみ」、そのため「一生懸命」。伝統を背負い、夢を抱いた初出場の南昌みらい。

何"度も、"勝"利を重ね、"未来"を切り開くため、新チームの挑戦が始まる。

岩手めんこいテレビ
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