インターハイの切符をかけた岩手県高校総合体育大会(高総体)のバレーボール競技が5月29日に開幕する。注目は、県内をけん引してきた強豪・盛岡南高校と不来方高校が統合して今春誕生した南昌みらい高校だ。
両校の伝統を受け継ぎ、県内最大の51人を擁する大所帯のチームは、統合後初となる高総体で初優勝を狙う。かつてのライバル同士が一つのチームとなり、新チームの歴史を刻むべく闘志を燃やしている。
県内屈指の強豪校同士が統合
盛岡南高校と不来方高校が統合され、2025年4月、南昌みらい高校が開校した。
南昌みらい高校男子バレーボール部は、岩手県内で強豪として名をはせてきた盛岡南高校と不来方高校、両校の伝統を胸に宿している。

春の高校バレーの優勝回数は盛岡南が県内最多の15回、不来方はそれに次ぐ12回を誇る。どちらも全国ベスト16に入った経験を持ち、県勢トップタイの記録を残している。

2校は2024年11月から合同チームとして一緒に練習を重ねてきた。
2025年1月の新人戦では、それぞれのユニフォームを1試合ごとに順番に着て心を一つにプレーし、準優勝を果たして東北大会へ出場した実績がある。

統合後の部員数は県内最大の51人となった。盛岡南から16人、不来方から22人、さらにこの春新たに1年生が13人加わった布陣で、開幕が迫る高総体を前にチームの心はひとつとなり、初優勝を目指して練習に励んでいる。
元ライバル、今は同じ志を持つ仲間
新チームの攻撃の大きな柱となるのは、2024年までライバルとして火花を散らした2人のエースだ。

元不来方高校でオポジットの松浦聖弥選手(3年)は身長181cmのサウスポー。高い打点からの鋭いスパイクが持ち味で、2024年には県の選抜チームに2年生で唯一メンバー入りした県内屈指のアタッカーである。
松浦選手は「自分はオポジットというスパイクを打つ専門のポジションなので、みんなよりも力強いスパイクを打ってチームに貢献していきたい」と意気込みを語る。

一方、元盛岡南高校でアウトサイドヒッターの竹花心人選手(3年)は跳躍力が光る。身長168cmながら最高到達点は3m5cm、バスケットのリングと同じ高さを誇る。ブロックを打ち抜くパワーや意表を突くテクニックを持ち合わせ、2024年の春高バレーでは県大会を通じてチームトップの得点をマークした実力の持ち主だ。
竹花選手は「相手が悩むような、どうしても止められない感じのブロックアウトで、点をたくさん取っていきたい」と抱負を語る。
リベロの主将が新チームを統率
新チームの中心を担うのはリベロの平賀永清主将(元不来方・3年)だ。普段から積極的に声を掛けてチームの士気を高め、試合中も周りをよく見て的確に指示を出す。高い守備力でチームをまとめる要となっている。

「南昌みらい高校が岩手県の大会で初めて公の場に出る。みんなから応援されるようなチームにできるように、勝ちにつながるように雰囲気が上がるような声がけをしていきたい」と主将としての責任感を持って語る。
経験豊富な2人の指導者が率いる
南昌みらい高校では、元盛岡南高校の相馬高志監督が監督として、元不来方高校の高橋新哉監督がコーチとして指導にあたっている。指導者も両校から揃い、それぞれの強みを生かした指導を行っている。

相馬高志監督は「これまで積み上げてきた両校の色とか戦術とか武器があるので、それをうまく引き出しながら南昌みらいとしてひとつのチームで戦っていくことが大事」と語る。

高橋新哉コーチも「できることがとにかく増えたと一気に感じる」と統合による相乗効果に期待を寄せている。
“岩手の新しい歴史"を刻む
真新しい横断幕やユニフォームも完成し、ここから新たな歴史が始まる「南昌みらい」。チームはすでに優勝と"その先"を見据えている。

平賀永清主将は「1年目から県優勝してインターハイに行けるように、岩手県のバレーにいい歴史を刻みたい」と決意を新たにしている。

「南昌みらい」の名を県内、そして全国へととどろかせるべく、高い志を持つ部員たちが闘志を燃やしている。
新チームの挑戦が今始まろうとしている。
(岩手めんこいテレビ)