男子春の高校バレー福岡県代表決定戦で優勝を果たし、15年振りに全国への道を切り拓いた福岡大学附属大濠高校。その強さの秘密とは?

いつしか“古豪”と呼ばれる存在に

2026年1月5日に行われる春の高校バレー、通称、春高バレー全国大会に向けて26人の部員が練習に励む福大大濠高校バレー部。練習にも熱が入る。

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2025年のチームを引っ張るキャプテンでセッターの大久保駿さん。「春高の県大会決勝に勝ってから、すぐ切り替えて全国大会で勝ち上がるために全員で切磋琢磨して練習している」と意気込みを語る。

福大大濠は、これまでに13回、全国へ進出した強豪校。しかし、全国に最後に出場したのは2011年まで遡る。というのも、この14年間は春高で3度の日本一に輝いた『東福岡』という高い壁の存在があったのだ。

福大大濠は、いつしか“古豪”と呼ばれるようになっていた。

強豪校のメンバーだった兄とは違う道を

キャプテンの大久保さんの4歳上の兄、奨さんは、“強豪校”東福岡のバレー部で2021年の“春高日本一”のメンバーだった。

「東福岡を倒せるのが大濠高校だと思ったし、そこにチャレンジしたいと思って」と話す大久保さん。絶対王者を倒したい、その強い思いを抱き、敢えて兄とは違う道を選択したのだ。

しかし福岡県代表決定戦での東福岡の壁は高く、大久保さんが1、2年生の時は、憧れの全国の舞台へ進むことができなかった。「ずっと外から見ていて悔しかった。とても苦しい時期が多かった」と大久保さんは、その頃のことを振り返る。

独自の取り組み『ブラザーシステム』

そうしたなか、福大大濠では独自の取り組みでチーム力を高めてきた。それが『ブラザーシステム』と呼ばれる仕組み。1・2・3年生の3人1組をブラザーと位置付け、練習や学校生活で上級生が下級生の面倒を見るという仕組みだ。練習後にはブラザーごとに反省会も開いてきた。

大久保さんが組んだブラザーの1人、2年生エースの新山明さん。身長180センチで最高到達点は3メートル36センチ。世代別の日本代表にも選出された大濠のエースだ。

キャプテンでセッターの大久保さんと2年生のエースという新山さん。古豪復活に欠かせない2人が、ブラザーシステムのもと信頼関係を深めていった。

「エースとセッターという関係なので、どうしたらいいのかなど的確に言ってくれるので助かっています」と新山さんも大久保さんには、大きな信頼を寄せる。

強豪『東福岡』に迫られるも最後は…

2025年11月8日。そして迎えた男子春高バレー福岡県決勝大会。

大久保さんのサービスエース、さらには新山さんとのコンビも冴えわたり、福大大濠が第1セットを先取。

しかし相手は王者、東福岡。3年生エースが気を吐き、第2セットは東福岡が取り返す。そして大濠と東福岡、互いの思いがぶつかり合った第3セットは、福大大濠。

いよいよ夢舞台まであと1セット。福大大濠が王手をかけて迎えた第4セットは、3年生たちが活躍。リードをしたままマッチポイント。15年振りの全国大会が見えてきた。しかし王者、東福岡も意地の連続ポイントを重ねる。

1点差にまで迫られた極限の場面で、真価を発揮したのは福大大濠が誇る“信頼のブラザーズ”だ。大久保さんが最後にトスを託したのは、2年生エースの新山さんだった。

「最後、23点目を取られた時は『自分が決めるから』と伝えた。最後、決まらなかったら自分の責任だと思って、思い切り打とうって思っていたので、そこは思い切りいって、決められてよかった」と新山さんは試合を振り返る。

「日本一を獲れるチャンスがある」

15年ぶり春高バレー全国大会出場。重い歴史の扉を開けた福大大濠。いよいよ2026年1月からは、次なる戦いが始まる。

「目標としている日本一を獲れるチャンスが、自分たちにはあるので、しっかり福岡県代表という気持ちを忘れずに、皆に感謝の気持ちを持って恩返しできるように日本一を獲りたいです」と大久保さんは前を向いた。

(テレビ西日本)

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