春の高校バレー、通称、春高バレー。仲間や家族と目指す最後の日本一への挑戦がいよいよ始まる。

「全員一緒に同じ気持ちで戦いたい」

2026年1月5日に東京体育館で火蓋が切られる春高バレーの全国大会へ向けて追い込みをかける福岡女学院高校(福岡市南区)バレー部。2年ぶり2度目の全国大会進出だ。

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武器は、息の合ったコンビネーションで、相手を翻弄するコンビバレー。体育館は、ピリッと引き締まった雰囲気に包まれていた。

メンバーの多くが付属の福岡女学院中学出身。特に、いまの3年生は中学時代、全国3位になった“黄金世代”として全国的にも注目されている。6年間、苦楽を共にした仲間だけに、厳しさのなかにも楽しい雰囲気が醸し出されるのも女学院の強さの秘訣だ。

「仲がいいチームだと思っています。6年間の集大成でもあるし、全員で一緒に同じ気持ちで戦いたいと思います」とキャプテンの萩原千尋さんは話す。

「日本一になった姿をお父さんに」

チームのエースとして活躍を期待されている吉田朱李さん。切れ味鋭いスパイクと強烈なジャンプサーブが武器の3年生だ。

朱李さんには、最後の春高にかける強い想いがある。「日本一になった姿をお父さんに見せられるように」という思いだ。父親の徳之さんは、宮崎から応援してくれているのだ。

「練習、終わったよ」(朱李さん)。「足は?」(徳之さん)。「きのう病院に行って、注射打った」(朱李さん)。「痛くない?」(徳之さん)。「うん」(朱李さん)。この日も練習が終わった朱李さんは徳之さんに電話をかけ、報告する

「受験はどうだった?」(徳之さん)。「受験は、普通に面接は行けた。保健の教科書の中から質問されるのが、ちょっとよく分からんくて、答えられんかった。『すみません、知識不足です』って言った」(朱李さん)。朱李さんは、進学を控えている身なのだ。

「私が3歳の時に、お母さんがいなくなって、お父さんがお姉ちゃんと姉妹2人を男手ひとつで、ずっと育ててくれて…。自分が『中学から女学院に入りたい』と言った時も『行っておいで』と自分の意思を一番に尊重してくれた」と話す朱李さん。

父親の徳之さんは、日本一への夢を追いかける娘の朱李さんの気持ちを一番に考え、宮崎から福岡へ送り出す決断をしたのだ。

父親への想いを胸に朱李さんは2025年の夏、インターハイで全国準優勝に貢献。優秀選手に選ばれるなど大きな成長を遂げた。

春高バレーの県大会には、6年間、試合の度に宮崎から応援に駆けつけてきた徳之さんの姿もあった。

「むちゃくちゃ寂しかったです」

「悔いを残さず思い切りプレーして欲しい。やっぱり仲間がいてのスポーツだと思っているので、周りに感謝して戦ってもらいたい」と応援する一方で、僅か12歳で夢を追って家を離れた愛娘については、隠せない本音も口にした。

「むちゃくちゃ寂しかったです。『こんなに早く、傍から離れるかな』って思った。やっぱりバレーの試合も楽しみですけど、一番は会いたい。率直に会いに行きたい」。

滅多に会えない朱李さんのために徳之さんは、試合の度に弁当を作って応援に駆けつける。この日も、午前3時半に起きて作ったというお弁当を持参した。「きょうは、午前3時半起き。色が悪いですけど。これも楽しみの1つです」。

そして11月8日に行われた春高バレー福岡県代表決定戦。朱李さんの活躍もあり福岡女学院バレー部は、全国大会へ。

日本一を目指して戦った中学時代の最高成績は3位。2025年のインターハイでは全国2位。最後に目指すのは、もちろん、日本一だ。

「中学校では3位という結果で終わってしまって、一番、応援してくれていたお父さんは、自分が泣いていたら一緒に泣いてくれて、そういう顔をさせたくない思いが強いので、楽しんでバレーしている姿を見せたいと思うし、日本一を獲って笑顔で終わって欲しいと思う」

支えてくれた家族、高め合った仲間と共に春高で日本一を目指す。

春の高校バレー全国大会は、2026年1月5日に東京体育館で開幕。福岡女学院は6日の2回戦から登場する。

(テレビ西日本)

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