食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。
植野さんが紹介するのは「さつま揚げ」。
東京・五反田の大衆酒場「かね将」を再び訪れ、常連に人気の一品と衣はサクッ、中から玉ねぎの甘みがじゅわっと広がる「玉ねぎフライ」の作り方を紹介。さらに、この5年間で変化した店と親子の関係性にも迫る。
オープン同時に客が押し寄せる人気酒場
植野さんがやってきたのは、五反田駅から徒歩3分の場所にあり、店前にそびえる一本の木が目印の「かね将」。
開店は1983年で、午後4時半のオープンと同時に客が押し寄せる人気酒場だ。

初代の金子章治さんは学生時代からもつ焼き店で働き、この道40年以上。そして前回、ハムカツの作り方を教えてくれたのが、店長の神田光一さん。「牛すじトマト煮込み」の作り方を教えてくれたのが、初代の妻・アリシアさん。

五反田の“呑兵衛”たちをうならせているのが美味しくてリーズナブルなおつまみの数々。新鮮なモツを香ばしく焼き上げた「焼きとん」に、なんこつの食感がたまらない「自家製つくね」。

爽やかな甘みの「コーンバター」など、脇を固める一品料理の数々に加えて、初代が釣り好きということもあり、釣った魚がその日の特別メニューとして提供されることも。賑やかな雰囲気も酒のおとも、五反田の酒好きがこぞって薦める店だ。
初代から2代目に、400年続ける店へ
以前、植野さんが訪問してから5年が経ち、この間の変化を訪ねると、金子さんは「息子の代に代替わりして、今年の4月から2店舗目が始まりました」と話した。

2号店の「酒場かね将」は本店から道路をはさんで対角線側、歩いてわずか10秒の場所にある。「かね将」らしい雰囲気はそのままに、本店が焼きとんメインに対して2号店は魚のメニューが充実している。

「マグロかまのガーリック蒸し焼き」や6種類の刺身の盛り合わせなど、新鮮な魚介を使ったおつまみがそろう。
本店と同じメニューだけでなく2号店限定のメニューもあり、また違った楽しみ方が出来る店だ。
2代目の神田昌平さんに心構えについて聞くと、「お客さんを喜ばせることを大事にする。それだけで(父親は)40年やってきている。それを続けて行けば400年続けて行けると思う」と並々ならぬ覚悟を語った。味と思いを受け継ぐ“かね将”、400年後もきっと客の笑顔で溢れているだろう。

本日のお目当て、かね将の「さつま揚げ」。
一口食べた植野さんは「滑らかな中に、すり身の美味しさがフワっと広がる」と絶賛していた。
かね将「さつま揚げ」と「玉ねぎフライ」レシピを紹介する。
