季節の変わり目に感じる鼻のムズムズやのどのイガイガ。多くの人が「風邪かな?」と思うその症状は「秋の花粉症」かもしれない。近年の記録的な猛暑が原因となる植物の生育を促し、例年以上に猛威を振るっているという。

観測データが示す“秋の異変”
福岡市南区の国立病院機構福岡病院。児塔栄子さんはここで約40年にわたり花粉調査を続けている。屋上に設置されているのは大気中の花粉を調べる「ダーラム型花粉補集器」だ。

「昔より最近は増減を繰り返しながら、秋の花粉はやや多くなっています。秋の抗原花粉としては『ブタクサ』が主です」(児塔さん)。

春のスギやヒノキが有名な花粉だが、秋にもアレルギーの原因となる花粉は飛散している。特に、夏の暑い時期が長くなることで、ブタクサなどの生育が活発になり、花粉の飛散量も増加傾向にあるという。

住宅街を流れる川にはびっしり
その原因は、私たちの身近な場所に潜んでいる。市内を流れる川沿いにはブタクサの仲間である「オオブタクサ」がびっしりと生い茂っていた。そのたくましい生命力は、地域の住民にとって悩みの種だ。

「娘は花粉症っぽくて。鼻水やくしゃみ、目のかゆみを訴えますね」と話すのは近くに住む女性だ。「秋だけ症状が出るので、たぶん原因はブタクサ」。

那珂川市の「じんのうち耳鼻咽喉科」には朝の診察開始前から患者の長い列ができていた。去年の同じ時期に比べてのどや鼻の不調を訴える患者が多く訪れるという。

「風邪症状で来院する人は多いですね。まず風邪ではないか採血しアレルギーチェックをしてみて『秋の花粉症だね』と診断をつけるケースが、以前に比べて確実に増えています」(陣内進也院長)。

外で遊んでブタクサの花粉を吸いこむことも
診察室に入って来たのは「鼻水が止まらない」と母親と訪れた男の子。「最初のどが痛くて、そのあと鼻水が止まらなくてなってきたんですけど」と訴える。「どう?けっこう外には出る?毎日出てます?遊びに行ってます?」と問診する陣内院長。「鼻の粘膜はアレルギー様に腫れていますね。外で遊ぶことが多いなら、ブタクサのアレルギーでしょう」と診断した。外で遊んだ際にブタクサの花粉を吸いこんだことによる「秋の花粉症」とみられるという。

陣内院長は、「暑い夏が続いた影響は大きい。意外と11月ぐらいまで続くのではという印象があります」と警鐘を鳴らす。

「近づかない、しっかり払う、鼻うがい」が有効
「秋の花粉症」はどう防げばいいのか。陣内院長は「道ばたのブタクサに近づかない、帰宅時に花粉をしっかり払う、そして鼻うがいも非常に有効です」と対策を呼びかける。春と同様にマスクの着用など基本的な対策がこの季節を乗り切る鍵となりそうだ。

(テレビ西日本)