2023年5月、長野県中野市で住民の女性2人と警察官2人が殺害された事件で、殺人の罪などに問われている青木政憲被告(34)の裁判員裁判の判決公判が10月14日開かれ、長野地方裁判所は被告に「死刑」を言い渡した。判決を受けて、4人の遺族がコメントを発表した。
遺族のコメント
(死刑判決を受けて)
本日、青木政憲被告に対し、長野地裁が死刑判決を言い渡しました。
事件から2年以上が経って裁判が始まり、ようやく判決の日を迎えました。
今日は妻・母も一緒にこの判決を聞いてくれたと思っています。
大切な家族を無惨に奪われた私たち遺族にとって、この判決は当然と考えています。
一方で、私たちが望んだ判決になろうとも、妻・母が私たちの元に戻ってくることは、もうありません。
会いたくても、もう二度と会うことはできません。

人の命を奪うということは、どういうことか。被告人には逃げずに正面から向き合い、罰を受けてほしい。
私たちの悲しみや無念が晴れることは一生ありませんが、それが遺族としての、せめてもの思いです。 一日も早く、この判決が確定することを強く望みます。
遺族のコメント
(判決を受けて)
本日、長野地裁は被告人に対して死刑判決を言い渡しました。
当然の判決かと思います。 事件から2年以上経過し、ようやく始まった裁判、そして今日の判決。
今日は妻・母の遺影を持参して家族みんなで判決を聞いていました。
判決は出ましたが、妻・母は帰ってきませんし、私たちの悲しみと苦しみが消えることもありません。

被告人の裁判中の態度と発言は腹立たしく、無念でなりませんでした。
多くの人たちの心に傷を負わせたことを認識して罰を受けて欲しいです。
妻・母の友人、知人の方々にはたくさんのお声をもらい、励みになりました。この場を借りて御礼申し上げます。
最後に、1日でも早く刑が確定されることを望みます。
遺族のコメント
(遺族一同)
被告人には、罪の重大さと社会に対して犯した取返しのつかない過ちを逃げずに正面から直視し、真摯に償うことを強く求めます。

私たち遺族は、罪のない人々が犠牲とならない社会、そして命を懸けて地域の安全を守る人々が犠牲とならない社会になってほしいと願っています。
遺族のコメント
(遺族一同)
亡くなった命は二度と戻りません。
しかし、せめて被告人が、被害者達の無念、私たち遺族の苦しみ、判決の結果を重く受け止め、自身の犯した重大な罪に対して真剣に向き合うことを強く望みます。
被告に「死刑」判決 長野地裁
中野市の農業・青木政憲被告(34)は、中野市江部で2023年5月、散歩中の住民の女性2人と駆けつけた警察官2人をナイフや猟銃で殺害したとして殺人の罪などに問われている。
裁判では、被告の「責任能力」が主な争点になっていて、検察側は「他に類をみない悪質な犯行で、妄想症を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない」などとして、死刑を求刑。
これに対し、弁護側は「被告は妄想に支配され、善悪の判断力が著しく低下した心神耗弱の状態だった」として死刑を回避するよう求めた。
黙秘を続けた青木被告は結審の前には「私は異次元の存在から迫害を受け、人を殺して死刑になるために来た」などと述べていた。
中野市の農業・青木政憲被告(34)は、中野市江部で2023年5月、散歩中の住民の女性2人と駆けつけた警察官2人をナイフや猟銃で殺害したとして殺人の罪などに問われている。
裁判では、被告の「責任能力」が主な争点になっていて、検察側は「他に類をみない悪質な犯行で、妄想症を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない」などとして、死刑を求刑。

これに対し、弁護側は「被告は妄想に支配され、善悪の判断力が著しく低下した心神耗弱の状態だった」として死刑を回避するよう求めた。
黙秘を続けた青木被告は結審の前には「私は異次元の存在から迫害を受け、人を殺して死刑になるために来た」などと述べていた。
裁判員裁判の判決公判が14日午後1時半から開かれ、長野地裁は主文を後回しにして、判決理由などを読み上げ、被告に「死刑」を言い渡した。

坂田正史裁判長は「被告人は当時、善悪を判断し行動をコントロールする能力を特に問題なく保っており、完全責任能力を有していたと認定することができる」「4名もの人々の尊い命を奪ったのであり、強固な殺意に基づく残虐極まりない犯行である。殺人行為を重ねてもなお淡々とし、人の生命を軽視してはばからない様子には、戦慄を覚えずにはいられない」「酌量の余地など皆無であり、極めて厳しい非難に値する」「被告人の刑事責任はあまりにも重大といわざるを得ないのであって、死刑の選択を回避すべき事情は見出すことができなかったものである。被告人に対しては、死刑をもって臨む以外にない」などと述べた。