長野県中野市で5月25日、警察官を含む男女4人が死亡した立てこもり事件で警察は26日、青木政憲容疑者(31)を殺人の疑いで逮捕した。4人もの尊い命が奪われた異様な事件。刺された女性に助けを求められた男性と心肺蘇生した男性が緊迫の一部始終を語った。
「おじさん助けてください」
事件は静かな田園地帯で起きた。25日午後4時ごろのこと。
目撃者した男性:
畑作業していたんです。そしたら「誰か助けて」と声がして、女の人が走ってくるのが見えた。男が追いかけてくるのを見て、これはやばいかなと思って。「おじさん助けてください」と言って、そんなことしている間に男に追いつかれて、3メートルくらい手前で捕まって。左胸にサバイバルナイフみたいなでかいナイフで刺した。「殺したいから殺してやった」と
刃物を収めてゆっくり立ち去る青木容疑者。
男性はすぐに110番通報した。
この記事の画像(11枚)心肺蘇生中…男は笑っていた
襲われた女性の心肺蘇生にあたった男性は―。
心肺蘇生した男性:
そのときにはほとんど意識はない。目は開いていたし、後ろから刺されたみたいで、あんまり(腹側は)出血していなかった。後ろ(背中側)はすごかった
心肺蘇生していると近くにパトカーが到着。そこに、銃を持った青木容疑者が現れ、運転席に向けて銃を構えた。
心肺蘇生した男性:
“撃つぞ撃つぞ”という感じで笑っていた、慌ててダーって逃げたんですよ。私の畑まで。そしたらバーンって音だけ、逃げるの必死で。(パトカーの警察官は)どんな状況でいるのかなと思って(近寄った)。運転席側の警察官はうなだれていた頭だけ動いていた
刺された村上幸枝さん(66)は心肺蘇生をするも死亡。
銃撃された中野警察署の玉井良樹警部補(46)池内卓夫巡査部長(61)も死亡。
保護された母親「犯人は息子」
青木容疑者はその後、近くの自宅に立てこもった。
近くでは高齢の女性1人も倒れていたが、近づけず、救助できないまま夜に。
すると―。
(記者リポート)
今、現場の方から発砲音とみられる音が聞こえました
午後8時前後に2回の発砲音―。
警察官:
発砲音が聞こえて火薬臭も漂っているので(規制線より)下がってください。頼みます。命の方が大事です
半径300メートルの範囲の住民には避難が呼びかけられ、続々と避難所の中学校に―。
避難した人:
子どもを迎えにいったらそのまま(自宅に)帰れなくなって。何が起きているんだろうと
避難した人:
ショック、銃なんてどうして持っていたかのかと、どうしてなんだろうね
一方、現場の家からは、午後8時半過ぎに、青木容疑者の母親が―。
さらに、午前0時10分ごろには、親せきの女性が逃げ出し、無事に保護された。
保護された母親は「犯人は息子です」と捜査関係者に話したという。
発生から12時間
(記者リポート)
「ヘルメットをかぶり盾を持った警察官たちが中に入っていきます」
遠巻きに包囲する警察。
膠着(こうちゃく)状態が続く。
事態が動いたのは、あたりがすっかり明るくなった午前4時半ごろだった。
カメラには自宅1階の戸が動き、やがて人が歩いていく様子が映っていた。
警察官も動き出す―。
そして―。
(記者リポート)
午前5時前です。男を乗せたとみられる車が今、中野警察署に到着しました
発生から12時間、身柄を確保―。
自分から歩いて外に出てきたという。
現場近くに倒れていた女性は竹内靖子さん(70)。救助されたが死亡が確認された。
容疑者の身柄確保を受け、避難は解除された。
近所の住民:
とりあえず安心しています
近所の住民:
やっと開放された気持ち、本当に大変な1日だった
小学校では念のため保護者が付き添って登校した。
緊迫の夜から安どの朝に。
しかし、事件の異様さも徐々に判明し、地域の動揺はまだ収まっていないようだ。
(長野放送)