平川翔也アナウンサー:
滋賀県で開催された国民スポーツ大会が10月8日閉幕しました。現地で取材した福島アナウンサーと大会を振り返ります。
福島睦アナウンサー:
10月3日から5日間、現地で取材をしてきました。まずは山陰勢の活躍を振り返ります。
福島睦アナウンサー:
「今年の国民スポーツ大会、雄大な琵琶湖を臨むここ滋賀県で開催されました」
国宝・彦根城を近くに望む彦根市で行われた陸上競技。
少年女子A100メートル決勝に臨んだのは、鳥取敬愛高校3年の前田さくら選手。
決勝進出8人の中で持ちタイムはトップ。
しかし「横からくる選手に焦り、走りがくずれてしまった」と、悔しい2着でのフィニッシュでした。
レース直後は涙が抑えられませんでしたが、「大学に進学して世界大会でも活躍したい」と表彰台では笑顔でした。
平川翔也アナウンサー:
「前田選手、国スポ直前には日本代表として20歳以下の東アジア選手権で優勝していますから、これからもまだまだ活躍を期待しています」
続いては、水上の競技。
以前はボートと呼ばれていた「ローイング」です。
少年男子シングルスカルでは、大会連覇がかかる鳥取城北高校3年・岡本成世選手が決勝に進出しました。
風でバランスを崩し、得意のスタートは乱れましたが、持ち前の力強いストロークで挽回。残り200メートルで一気にスパートし、大会連覇を飾りました。
このほか成年男子ダブルスカルでは、パリオリンピック代表・古田直輝選手と米子市役所・野口晧平選手のペアも5位入賞。
この競技で鳥取県勢は、6種目で入賞と活躍を見せました。
一方、カヌーのスプリントでは、島根県勢が躍動しました。
出雲農林高校の松尾・多々納ペアが少年女子カヤックペア、500メートルと200メートルの2種目で3位入賞。
島根県勢はこの競技、12種目で入賞しました。
カヌーで入賞した多々納選手、実は大会1週間前に交通事故に遭い、右手首にひびが入った状態で出場していたんです。
平川翔也アナウンサー:
「けがを抱えながら2種目で3位入賞ですか。すごい気力ですね」
福島睦アナウンサー:
「『出られるだけで感謝』と何度も声を掛け合って国スポの舞台を楽しんだそうで、ペアの強い絆も感じました」
2025年の国スポ、男女総合成績です。
鳥取が34位、島根が44位。
1位は開催県の滋賀でした。
国スポ、そして国体では、最近20年の開催地の都県は、1位または2位になっています。というのも、順位を決める得点方法が、開催都道府県に有利な仕組みになっているからなんです。
まず、競技得点は、8位までに入賞すると順位に応じて与えられます。さらに参加得点、こちらは出場すれば一律に与えられます。開催地の代表は予選が免除され多くの競技に出場できるため、この参加得点が入りやすく、順位を押し上げる要因になっています。開催地・滋賀県は、2024年の8位から2025年は総合優勝となりました。過去23年間、開催都県が全て1位か2位になっています。もちろん、参加得点だけで総合優勝に届くわけではありませんので、5年後、8年後の国スポで総合優勝を目指すためには、島根、鳥取両県とも今後、競技力の向上を図る必要があります。
今回、会場で取材して感じたのが、競技運営の大変さ、負担でした。
福島睦アナウンサー:
「東近江市のカヌー競技の会場です。今回のために特設で設置されました。そのため、このように観覧席も特設で整備されているほか、仮設トイレも各所に設置されています」
滋賀県のシンボル、琵琶湖に川でつながる東近江市の伊庭内湖。
国スポのため、カヌースプリントの特設会場が設けられました。
このため、周辺には飲食店がなく、会場では選手や観客に食べものを提供するブースや休憩スペースが設置されたほか、「おもてなしコーナー」ではミネラルウォーターを無料で提供。期間中、1日900本が配られました。
また、取材中に苦労したのが駐車場。
会場周辺にはほとんどなく、報道陣や一般の観覧者は車で15分ほど離れた駐車場で無料のシャトルバスに乗りかえ、会場に移動しました。
こうした交通整理も含め、多くの事務局員やボランティアスタッフが大会運営を支えていました。
福島睦アナウンサー:
5年後の2030年は島根、8年後の2033年は鳥取で国スポが開催されます。競技力向上の一方で、大会の運営をどのように支えていくか…人口が少ない山陰両県にとってクリアすべき課題は多いと感じました。