今、全国各地で電力会社を装った新手の“ブレーカー点検詐欺”が急増しています。
消費生活総合センターに寄せられたブレーカー点検詐欺に関する相談は、東京で今年4月から6月までで377件と、去年の同じ時期に比べ6倍以上に急増

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全国でも今年9月末の時点で2291件この2年間の間で激増しているのが分かります。

『サン!シャイン』が取材したのは、不審な電話を受けたという男性。

不審な電話がかかってきた男性:
こういった電話でだまされてしまいそうなことがすごく想像ができたんで、ちょっとそれは許せない。
「東京電力なんですが、日程を決めて点検をしないといけないので」という電話だったので、「いつにしましょう?」という流れでしたね。
でも、あれ?これ、いつの間にかアポの約束させられちゃう感じだな、と思って。

相談件数は前年比6倍超…“ブレーカー点検詐欺”とは

“ブレーカー点検詐欺”とは、いったいどのようなものでしょうか。国民生活センターに寄せられた相談事例によると、ある日、80代の女性の元に電話がありブレーカーの点検を勧められ、業者が訪問。
その業者はブレーカーを点検すると、こう言ったといいます。

業者を装った男「これは古いので、すぐに交換しなければ漏電して火事になる」

危険をあおられ…、女性は総額約15万円の交換契約を結び、前金を支払ってしまいました。

実際にはどのような被害が寄せられているのでしょうか?

東京都消費生活総合センター相談課 髙村淳子課長:
特に被害を受けているのが70歳から上の高齢者である確率がすごく高いです。
この状況で相談が増えていくと(年間で)1500件近い相談になってしまうというような危機感を持っています。

正しい知識として、
家庭用のブレーカーは、4年に1度の点検が電力会社に義務づけられています。
さらに、電力供給の保安業務などを行う送配電網協議会によると…。

送配電網協議会工務部  新留裕也副部長:
電話で我々の方から訪問日時だとかっていうところを連絡することはなく、点検の日時などは事前に書面でご案内します

本来の通知は書面で行われるため、電話による点検連絡は“詐欺の可能性が高い”といいます。
また、訪問した点検作業員がその場で設備交換等の契約を持ち掛けることもないとのこと。

「すぐに点検を…」不安あおる電話 手口の実態

「家族が狙われた」という人の“あわやの事態“について、話を聞きました。

不審な電話がかかってきたのは、約2カ月前。

母親が“ブレーカー点検詐欺”に狙われた人:
「電気メーターのブレーカーを点検する作業をしている」「すぐに点検することは義務なので、2日後の(午後)4時に訪問したいのでこの時間にいてください」というようなことを言っていた。
母がカレンダーをで予定を確認しているので、それは一体何のスケジュールなんだろう?と。

母親は、業者の訪問を承諾してしまったといいますが…。

母親が“ブレーカー点検詐欺”に狙われた人:
最近、闇バイト強盗などニュースで見聞きしてるものですから、そういう電話なんじゃないかと思ったんですね。
地元の警察署に相談をしたところ、「その時間帯に鍵を閉めて在宅してください」というアドバイスを受けた。

戸締まりして警戒していたためか、業者が来ることはなかったといいます。

悪質なブレーカー点検詐欺をどう防げばいいのでしょうか。
専門家が、その撃退法を解説しました。

多田文明氏語る手口「不安をあおる」「断言する」

宮澤智アナウンサー:
詐欺・悪徳商法ジャーナリスト・多田文明氏によると、詐欺にはこんな傾向があるといいます。

宮澤智アナウンサー:
多田さんによると、以前は屋根の悪質リフォームを行う組織がいた。
それが少し前に給湯器の交換を行う組織に変わり、現在はブレーカーの悪質交換を行う組織になっているということで、同じ組織が次々と手を変え品を変えやっているのではということですが。
多田さん、9月30日東京・杉並区で住宅倒壊事故ありましたよね。
今度はブレーカーから擁壁の劣化を利用する詐欺になる可能性もあるということですか?

詐欺・悪徳商法ジャーナリスト 多田文明氏:
やっていることは「不安をあおる」ということ。
詐欺的なことを行う人は断言して言ってきます
今後はニュースにすごく便乗してきます。

岩田明子氏:
3年半ぐらい前ですね。
その頃バタバタしていて。
たまたま在宅で電話がかかってきて、「もう古くなっているでしょうから給湯器を取り替えないと冬場大変ですよ」と言われたので、取り替えられるものを全部やっちゃえと思って。
その後来てもらって取り替えたんですけど、お金払う時に40数万円だったんです。
「ちょっと高いよ」って言われたんです、後から。

詐欺・悪徳商法ジャーナリスト 多田文明氏:
その時大幅な値引きなどされなかったですか?

岩田明子氏:
少し値引きありました、今だったらということで。

詐欺・悪徳商法ジャーナリスト 多田文明氏:
それが手口で、その日のうちに契約させようとするので、悪質業者に引っかかった可能性はあるかなと思いますね。

視聴者からも“体験談”が寄せられました。

「蓄電池の点検に来た人が、操作パネルを触りながら、反対の手に持った携帯でリビングの写真を撮っていた。何だったんだろう?」(40代女性)

詐欺・悪徳商法ジャーナリスト 多田文明氏:
これは非常に危ないですね。
いわゆる点検を称して中の状況を把握して、それを犯罪グループに売って、いわゆる強盗だったり窃盗だったりする可能性がありますね。
これは危険です、すごく危険ですね。

(「サン!シャイン」10月8日放送より)