2024年、悪質リフォーム業者による高額工事費請求などが66件検挙され、過去最多となった。このうち15件に、匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」が関与し、被害相談も1万7703件で過去最多となった。そのうち訪問販売は約1万件にのぼり、高齢者が5割を占めた。突然の無料点検を装う手口が、情報流出や強盗被害につながる恐れもあるという。

相談者の5割が“高齢者”…訪問販売に関する相談過去最多に

警察庁によると、2024年悪質リフォーム業者により高額な工事費を請求されるなどの手口で検挙された事件は66件にのぼり、過去最多となった。このうち15件は匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」が関わっていることが確認された。

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悪質な勧誘をともなうセールス被害についての相談は、2024年に1万7703件にのぼり過去最多で、そのうち悪質リフォームを含む「訪問販売」に関する相談は半数以上を占め1万件近くにのぼり、相談者の5割は65歳以上の高齢者だった。

住宅、電気ガスの“無料点検”装い…料金だまし取るケース多数

悪質リフォーム(点検商法)などの検挙数を見ると、2010年44件、2011年64件、2012年34件、2013年34件、2014年46件、2015年47件、2016年57件、2017年42件、2018年29件、2019年24件、2020年53件、2021年43件、2022年47件、2023年38件、2024年66件と推移している。

青井実キャスター:
リフォームがそもそも必要ない人たちが騙されているということで本当に怖いですが、自分たちはもちろん、例えばおじいちゃんやおばあちゃん、両親とか、そういう方がどうやって対策していけばいいのでしょうか。

ここからは、フジテレビ社会部・上法玄解説委員が解説する。

小山内鈴奈キャスター:
警視庁が作成した、実例に基づいた漫画から具体例を見ていきます。ピンポーン!と業者を装った男が現れ「近くで作業中に、お宅の屋根が壊れてるのが見えました」と言われた高齢女性。「お金はいらないので屋根に上ってみましょうか?」と提案され、男は屋根に上って屋根を破壊。「雨漏りする前に急いで修理しないと」と提案します。これを聞いて「そろそろリフォームの時期なのかしら?」と考えた女性は、男の「この場で契約してくれたら安く仕上げますよ」という提案に「お願いします」と答えてしまいました。

青井キャスター:
怖いですけど、いきなり来たら入れてしまったりする人も多いですよね。

フジテレビ社会部・上法玄解説委員:
サービスを装ってくるので、これを見破るのは極めて難しいと思います。例えば、日中にいきなりインターホンを押してきて住宅の無料点検と言ったり、電気やガスの無料点検を行っていますと言って現れます。無料点検という言葉にほだされて、無碍にも断れず、どうぞと言ってしまうわけですね。

住宅の点検と言ってきた場合は、しばらくして点検を終えました、点検結果をお伝えしたいといって玄関に上がり込んでくる。そこで住宅の話のみならず、身の上話とかも聞いてきます。そういうところから、その住宅に誰が住んでいるのか、あるいは金目のものがあるかどうかを情報として記録してリスト化して、名簿が流れていきます。そして、その名簿が闇バイトを組織するグループにも流れて高値で売れている可能性があります。

小山内キャスター:
他にこんな手口もあります。「無料点検します」などと言って屋根裏を無料点検し、シロアリが生息していないにも関わらず「柱がボロボロになっています」「シロアリの仕業ですので、急いで工事をしなければいけません」「このまま放っておいたらまずいですよ」などと嘘を言って、駆除の料金を騙し取るというパターンです。

これについては匿名・流動型犯罪グループの「トクリュウ」が関与していて、2023年5月から2024年8月までの間、4件で約460人から約4億2000万円を騙し取る事件となりました。

宮司愛海キャスター:
トクリュウが関与しているということは、つまりその後、強盗などにつながってしまう恐れもあるということですよね。

フジテレビ社会部・上法解説委員:
捜査関係者によりますと、2024年に一連の首都圏強盗事件がありましたよね。あの事件は、こうした情報がもとに狙われた可能性があると指摘されています。例えば、リフォーム業者に一度、お世話になったりとかして、何らかの業者が家に入ったことがあって、そして被害を受けてしまうと。

業者が悪いわけではないんですが、業者を装った人間たちが実際に足を運んで集めた情報をもとに作成したリストが、犯罪者の手に渡ってしまっているのではないかとみられているんです。

無料点検に応じない、断ることが第一

宮司キャスター:
一軒家に限らず、マンションでも注意が必要ということですよね。

フジテレビ社会部・上法解説委員:
実際の実例を見てみますと、詐欺グループはターゲットについて相当調べて、情報収集をしてから実際に騙しにかかるという流れになっているようです。ある高齢者の実例ですと、その方が長年に渡ってお世話になってきた不動産管理を任せていた、懇意にしている業者の名前を実際に割り出してその名前を騙って、今なら高く売れますよとか、このチャンスを逃すなんて、としつこくもちかけてきたといった事例もあります。この場合は、運良く本物の業者からたまたま電話があったので気づいたという話なんです。

SPキャスターパックン:
検挙数のグラフで見ましたが、2011年に大震災があった年にも、64件と非常に件数は多かったですね。皆さん、ぜひ地震があったり暴風雨とか台風があったあと気を付けていただきたいです。自分の家が心配になってるだけではなくて、動揺してるから判断力が下がるかもしれません。

青井キャスター:
どうやって防いでいけばいいですか?

フジテレビ社会部・上法解説委員:
とにかく狙われないことが第一です。本当にハンマーを持って押し入ってきた人間に対処する方法はないです。無料点検に応じない、必要のない申し出は断るということが大事で、仮にそうした怪しい訪問者を受け入れてしまった場合は、自分が狙われている自覚を持ってすぐに警察に通報してほしいです。警察にパトロールを強化してもらって、あるいは話せるのであれば近所の人とも情報を共有することがすごく大事です。

地域社会が、不審者を見逃さない姿勢が大事だ。
(「イット!」3月6日放送より)

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