2025年9月22日、鹿児島県警の直轄警察犬であるウォルト号が、1歳4カ月という若さで急死した。行方不明者の発見など、これからの活躍が大いに期待されていた最中の出来事であり、関係者や地域の人々からは深い悲しみの声が上がっている。

デビュー直後から発揮された類まれな才能

ウォルト号が警察犬としてデビューしたのは2025年3月。初めての現場となった2025年7月の行方不明者の捜索で見事にその任務を果たし、指宿警察署で表彰を受ける姿が印象的だった。表彰式では、警察犬係の福留明光さんとともに、落ち着きのない様子を見せながらも「大好きなサツマイモをもらって喜んでいるのでは」と愛らしい一面ものぞかせていた。

初出動 わずか4分で行方不明者を発見したウォルト号
初出動 わずか4分で行方不明者を発見したウォルト号
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その後も活躍は続く。2025年8月、霧島市で行方不明となっていた90代女性の捜索に加わり、警察官60人が3日間かけて発見できなかった中、ウォルト号はわずか1時間20分で女性を発見した。ウォルト号の指導にあたった福留さんは「好奇心旺盛でやんちゃ」とその性格を語り、「もう少し訓練を重ね、県民の皆さんのためにますます活躍してほしい」と期待を寄せていた。

その後も活躍が続き期待されていたウォルト号
その後も活躍が続き期待されていたウォルト号

最後の勇姿、そして突然の別れ

2025年9月11日、福留さんの合図のもと、山の中を颯爽と駆け回るウォルト号。その姿が、私たちが最後に撮影した映像となった。

約1週間後の9月17日朝、ウォルト号は突然体調を崩し、ご飯を食べなくなった。2日後に入院したが、22日の朝、姶良市内の動物病院で息を引き取った。死因は感染症による肺出血を起こしたことによるショック死だった。

相棒を失った福留さん 関係者の悲痛な思い

訓練をするウォルト号と福留さん
訓練をするウォルト号と福留さん

生後3カ月の時に出会い、これまでウォルト号とともに訓練を重ねてきた福留さんは、鹿児島テレビの取材に対し電話口で声を震わせながら次のように語った。

「私にとっても同僚にとっても家族のような存在でした。病院の先生に頼るしかできず、何もできない自分が歯がゆかった。こんなに早い別れになってウォルトに申し訳ない。あまりにも早すぎて悲しくて悲しくてしょうがない」

ウォルト号は、その短い生涯の中で、鹿児島県警や地域社会に大きな足跡を残した。特に難航した行方不明者の捜索での成果は、警察犬としての大きな存在感を示し、今後のさらなる活躍が期待されていた。

相棒を失った福留さんや同僚など関係者の「家族のような存在」という言葉からも、ウォルト号がどれほど周囲に愛され期待されていたかが伝わってくる。

輝かしい功績を残した若き警察犬のあまりにも早い死は、多くの人々に深い悲しみをもたらしている。

鹿児島テレビ
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