2025年7月上旬、鹿児島県指宿市で警察犬としてデビューしたばかりのオスのシェパードが、行方不明となっていた高齢の男性を発見し、指宿警察署で表彰された。
捜索開始からわずか4分で命を救ったウォルト号
指宿市の指宿警察署に元気いっぱいなオスのシェパードがやってきた。鹿児島県警の直轄警察犬、ウォルト フォム ネーベル ドルフ号だ。
7月上旬、指宿市内で「父がいなくなった」と家族から警察に通報があり、ウォルト号は80代の男性の捜索に加わった。
警察署員や消防隊員など約50人体制で探しても男性は見つからなかったが、通報から約5時間半後にウォルト号が捜索に加わると、男性の匂いをもとにわずか4分ほどで男性を発見した。

行方不明者の捜索は、空気中に漂う不明者の臭気をたどることで実施される。
鹿児島県警本部警察犬係・福留明光さんは「行方不明者のいた方向から我々の方向に風が流れていた。ウォルト号が出動してしばらくすると臭気をとらえ、臭気(の方向)を絞っていき行方不明者にたどり着いた」と語った。
発見された男性は自宅の北側に隣接するやぶが生い茂る山林内の崖にあおむけで倒れていた。衰弱していたが意識はあり、命に別条はなく、ウォルト号が命を救った形となった。
日頃警察犬は、人の歩いた足跡をたどる訓練や、行方不明者捜索の訓練に励んでいるが、福留さんは「ウォルト号は行方不明者を捜す能力にたけている」と高く評価する。

初出動で早くも表彰 今後のさらなる活躍に期待

表彰式では指宿警察署の久木山茂署長から、ウォルト号と福留さんに表彰状とウォルト号の大好物、サツマイモ10キロが贈られた。
ウォルト号は現在、1歳2カ月のオスで、2025年3月にデビューし、初めての出動で早くも表彰を受けた。表彰式は室内で行われ、しかも多くの参加者に囲まれるという、ウォルト号にとって初めての体験。それだけに若干興奮していたようす。その後のインタビューでも福留さんの隣でウォルト号は激しい息づかいだった。

「大好きなサツマイモをもらったということで、喜んでいるのでは?」と話す福留さん。「まだまだ若く、荒削りで、もっと色んなことを勉強しないといけないが、ますます県民の役に立つ警察犬になってもらいたい」と期待を寄せた。
その後も出動実績を重ねているというウォルト号。今後の成長が楽しみだ。