長野県軽井沢町の歴史を物語る「旧三笠ホテル」が、大規模な保存修理を終えました。かつての名門ホテルに新たな魅力が加わり、10月にリニューアルオープンします。
林の中にたたずむ趣のある建物。国の重要文化財に指定されている軽井沢町の「旧三笠ホテル」です。およそ5年半をかけた大規模な改修工事が終わり、報道向けの内覧会が開かれました。
開業は明治時代の1906年(明治39年)。大隈重信や渋沢栄一など政財界の要人も滞在し、「軽井沢の鹿鳴館」と呼ばれました。1970年に廃業後、町に寄贈されてからは、年間7万人以上が訪れる観光名所になりました。
町によりますと、総事業費は24億3000万円余り。ロビーなどの内装は、ホテル営業していたかつての姿に近づくよう壁や床を修繕しました。細かい彫りが施された窓枠などぜいたくな調度品が、歴史の重みを感じさせます。
こちらはスイートルーム。当時の雰囲気を味わえるよう、実際に使われていた軽井沢彫のクローゼットを置いて客室を再現しています。
(記者リポート)
「客室だった場所に新たに設けられたカフェスペースです。歴史を感じながらゆったりと食事を楽しむことができます」
リニューアルで「カフェ」も新設されました。ここで楽しめるのが、当時のレシピを再現した「ビーフカレー」。多くの著名人が楽しんだ三笠ホテルのカレーです。
軽井沢町 生涯学習課・藤沢美冴主任:
「来館した方にゆったり過ごしてもらう場所をつくるということでカフェを設けています。文化財の活用を求められていることがあるのでどう活用したか、ご覧いただければ」
ティータイムを楽しむのは、明治時代からタイムスリップしてきたかのような女性たち。「貸衣装」は4種類が2時間2000円で用意されています。
「旧三笠ホテル」は新たな魅力も加わり、軽井沢の歴史をゆっくり楽しめる場所になりました。リニューアルオープンは10月1日です。