構想発表から約5年。トヨタ自動車が静岡県裾野市の工場跡地に建設を進めてきたウーブン・シティが9月25日に開業しました。どんな実証実験が始まっているのでしょうか?
スタイリッシュな次世代モビリティが走る道路。
街の中には自律移動ができる最先端のロボットが…。
9月25日、裾野市に開業したウーブン・シティです。
トヨタ自動車・豊田章男 会長:
Are you ready?ウーブン!シティ!
トヨタ自動車が裾野市の工場跡地を活用して建設を進めている実証実験都市「ウーブン・シティ」。
自動運転やAIなどの最先端の技術やそれを使ったサービスの検証を繰り返し、社会に定着する価値の創造を目指します。
今回オープンしたエリアは全体の16%ほどで、将来的には東京ドーム6個分、29万4000平方メートルになるということです。
村田彬 記者:
今、私の後ろを走っているあちらのロボットは完全に無人で走行しています。上に付いているセンサーで周りの障害物を認識しているということです
こちらの自律走行するロボット。
耐久性や安全性を確かめるとともに買い物した荷物を運ぶなど、今後住民にも使ってもらいながら活用方法や可能性を探っていくということです。
また、次世代の小型モビリティが街の中を走るため、道路には専用レーンが設けられていました。
その道路でもインフラの実証実験をするため特殊な信号に。
車の交通量や人の流れを計測し、それに応じて切り替わるようになっています。
ウーブン・シティで実証実験をすすめるのはトヨタ自動車だけではありません。
村田彬 記者:
空調からは穏やかな風が吹いていて、ラベンダーの香りでしょうか。室内いっぱいに広がっています
大手空調機器メーカー・ダイキン工業が取り組むのは従来の空調の枠を超えた新たな空間づくり。
部屋の温度や香り、映像などをコントロールし、住民がどれだけリラックスできるかや集中できるかなどを実験します。
さらに…。
こちらのハンバーガーセット。
日清食品が開発した最適化栄養食というものです。
日清食品フューチャーフード研究開発部・上井康弘 主任:
罪悪感を感じるメニューだからこそ、ハンバーガーが最適化栄養食になったらみんな驚くだろうと、あえてハンバーガーセットに挑戦しています
開発された商品を食べた住人からデータを集め、新たな食文化の創出や健康寿命の延伸など食の可能性に取り組んでいくということです。
現在、ウーブン・シティには20の企業が参加していて、世界中の起業家や大学・研究機関などに実証実験のアイデアを募集しています。
また、地元・裾野市も地域の活性化に期待を寄せています。
先週19日にはウーブン・シティへの歩道橋が完成し、2026年度以降に一般の来訪者の受け入れも開始される予定です。
構想発表から約5年。
自身もこの街で暮らしていくというトヨタ自動車・豊田章男 会長は、業種の異なる企業が知見を紡ぎ合い、未来の技術の誕生を目指したいと意気込みます。
トヨタ自動車・豊田章男 会長:
この街に引っ越してきます、マスターウィーバー(住人)の豊田です。マスターウィーバー?私の理解は自称・町内会長だと思っています。ここは街というより未来のためのテストコース。ウーブン・シティで起こしていくのは掛け算です。掛け算は1社だけだと成り立たない。最低でも2社必要。みんなで笑顔の2をかけていきましょう
今回のエリアにはトヨタ自動車の関係者など約300人が暮らし、将来的には2000人規模の街になる予定のウーブン・シティ。
進化し続ける未完成の街での実証実験で、どのような価値が生まれていくのか注目です。