袴田巖さんに無罪判決が言い渡されてから9月26日で1年です。袴田さん、そして姉のひで子さんとってどのような1年だったのでしょうか?
記者:
体調はいかがですか?
袴田巖さん:
闘いに勝てばそれでいいって言うよね
袴田巖さん(89)。
1年前のきょう、“真の自由”を手にしました。
袴田巖さんの姉・ひで子さん:
外で皆さんから「よかったね」と言ってもらう、その雰囲気をつかんでいる。だからだいぶ明るくなった。表情が良くなった、柔らかくなった。心配もしなくていいし、肩の荷が下りてのんきなもの
姉・ひで子さん(92)。
弟を見守り続けています。
1966年、当時の静岡県清水市で一家4人が殺害された事件。
袴田さんは犯人として逮捕され、死刑判決を受けました。
しかし、2024年9月26日。
落合健悟 記者:
無罪です。たったいま無罪が言い渡されました
やり直しの裁判で静岡地裁が言い渡したのは無罪判決でした。
姉・ひで子さん(2024年9月26日):
裁判長が「主文・被告人は無罪」と言ったのが神々しく聞こえたの。感激するやら、うれしいやらで涙が止まらなかった
30歳で逮捕された袴田さんは89歳になりました。
姉と2人、浜松市の自宅で支援者からのサポートを受けながら静かに暮らしています。
あの日から1年。
1人の市民として様々な権利を取り戻しています。
2024年10月の衆院選では44年ぶりに選挙権が回復し1票を投じました。
また、元死刑囚を対象にした特例法により国民年金も受給もできる見通しです。
姉・ひで子さん:
死刑囚ではなくなったということを自覚してもらうつもりで選挙にも行った。そういう所にけじめ、死刑囚ではなくなったという実感は沸いている。拘禁症というものも治らないだろうが軽くなるように、だから巖を自由にしておくのが一番の薬だと思う。だから、いらないことを言わないで巖のなすがままにして、それで今のところ生活している。私は見守るだけ
長年の拘禁生活の影響か今も意思の疎通が難しい弟。
ひで子さんは温かく見守っています。
そして、新たな決意も。
姉・ひで子さん:
巖だけ助かれば良いというものではないと思っている。無罪になったということでみんな励みにしていると思う。それに応えるようにわたしは行動したい
ひで子さんはこの1年、北は北海道、南は鹿児島までまさに全国を飛び回り講演活動を行ってきました。
その数は40を超え、審理の長期化が課題となっている再審法の改正を訴えています。
姉・ひで子さん:
真実を求めて頑張れば無罪になるということを巖が証明している。冤罪被害者も相当苦しんでいる。大勢、何年も苦しんでいる人もいる。そういう人たちのためにも再審法改正は実行してもらいたい
姉が願うように司法・裁判は変わっていくのか…。
思いを寄せながら姉と弟は静かな時を過ごしています。