診察や検査を終えたら早めに、警察に「拾得物」としての届け出もしておきたい。近くの動物愛護センターにも連絡しておこう。

誰かに飼われていて、迷子になったり失踪したりした猫の可能性もあるためだ。

自宅を安心して過ごせる環境にしよう

諸々の手続きを終えて問題がなかったら、自宅に猫を迎えることになる。そこで大切なのは、安心して過ごせる環境づくり。

猫にとっては生活が一変するため、健康状態にも関わってくるそうだ。

自宅に“動きやすくて薄暗い空間”があると、猫が落ち着きやすい(画像はイメージ)
自宅に“動きやすくて薄暗い空間”があると、猫が落ち着きやすい(画像はイメージ)

「保護してしばらくは、“動きやすくて薄暗い空間”であると、猫の心は落ち着きやすいです。猫用の大きめなケージ(2段以上の段差があるものが望ましい)を用意して、タオルで覆ってあげるのがお勧めです」

田口先生に聞いた、自宅の環境作りでのポイントは次の通りだ。

・人間がいる環境に慣れてもらうため、ケージは飼い主が過ごすことの多い部屋に置く(警戒心が強そうな猫なら、別の部屋に置いてもOK)

・猫がいる部屋の温度や湿度は寒すぎず暑すぎず、人間が快適と感じるくらいにする

・香りが強いものの設置、使用は避ける(芳香剤、香水、柔軟剤など)

・直射日光や強い照明にさらされる環境は避ける(ストレスになる可能性あり)

・掃除機やドライヤーなど、大きな音がする機器は猫から離れて使う

香りが強いものの扱いに注意(画像はイメージ)
香りが強いものの扱いに注意(画像はイメージ)

また、人間の接し方にもポイントがある。猫を保護すると近くで見たかったり、触りたくなったりするかもしれないが、最初はむやみに近づかず、遠目で見守ることが重要だという。

「保護直後の猫は、不安と恐怖で警戒心がとても強くなっています。いきなり触ったり、声をかけたり、じっと見つめたりせず、しばらくはそっとしておきましょう」

【猫の保護についてのお勧め記事はこちら】
身近に“気になる猫”がいたら?保護できるかどうか「判断基準」の考え方
猫から信頼されたサインを知ってる?警戒心を解く“心の距離”の縮め方

“脱走”や先住猫の扱いに注意

ちなみに、ケージの鍵は、最初はかけておくのがお勧めだが、環境に慣れさせるため、開ける時間を徐々に作ってもいい。ただし、自宅から“脱走”しないように注意してほしい。

また、家に先住猫がいる場合は、お世話の順番に気を付けなければいけない。保護した猫を優先すると先住猫のストレスになり、焼きもちを妬いてしまうこともあるそうだ。

「このほか、保護猫の感染症は病気にもよりますが、判明するまでに2カ月かかることもあります。検査結果がでるまでは、先住猫と保護猫は部屋を分けてください。お世話の順番も先住猫への感染を防ぐために、保護猫は最後に行うようにしましょう」