外で生きる猫を見て、家で一緒に暮らしたい、命を救いたいと感じる人もいるはず。
ただ、保護をするには責任や覚悟も必要だ。事前に知っておきたい留意点はあるのか。猫専門の動物病院・保護猫ルーム「ぽのいえ」を運営する、獣医師・田口ゆかり先生に話を聞いた。
「猫の保護についてはいろいろな考えがあるので、これからお伝えするのはひとつの意見です。私は『猫の立場で幸せになれそうか』を考えて、保護するかどうか決めていただきたいと思っています」
外にいる猫は大きく4パターン
まず知っておきたいのは、外で生きる猫は大きく、次の4つに分けられる点だ。
・飼い猫(飼い主がいて、室内外の出入りを自由にさせている)
・地域猫(特定の飼い主はいないが、地域住民で見守っている)
・迷い猫(迷子などで帰れなくなった)
・野良猫(飼い主がおらず、外で生きている)
飼い猫を勝手に連れ去るのはそもそもNG。地域猫を保護したい場合は、見守っている人たちに話を通す必要がある。
迷い猫は警察などに届け出て、飼い主の有無を確認しなければならない。行き場がなさそうに見えても、保護できるとは限らないのだ。

「飼い猫は毛並みが良くて首輪をしていたり、外でも堂々とした様子が見られたりしますね。地域猫は(避妊・去勢)手術済みのサインとして、耳先をV字などにカットしているケースが多いです。迷い猫は迷子になったり逃げたりしているので、びくびくした様子が目立ちます」
保護できるかどうかの判断基準
ただ、見た目だけで保護できるか判断するのは難しい。田口先生は気になる猫がいるなら、次の基準で考えてみるのも、選択肢だと話す。
<保護を考えても良い猫>
・けがしていて、放置すると命の危険を感じる
・人慣れしていて、環境の変化があまりストレスにならなさそう
・何度会っても、親猫が近くにいない子猫(独りだちした、見捨てられた可能性が高い)

<保護は慎重になってほしい猫>
・警戒心が極端に強く、環境の変化がストレスになりそう
・毛並みが良い、首輪がついている、耳がカットされている
・衰弱し、死にそうな猫(環境の変化が余命を短くすることがある)
・親猫が近くにいる場合の子猫(離乳前に親子を引き離すことになる)