屋外で生きる猫を保護したいと思ったら、私たちは何ができるのだろう。スムーズに進めたいなら知識や準備も必要になってくる。

猫を保護する際にやるべきことの流れ、安心できる環境づくりの心構えを、猫専門の動物病院と保護猫ルーム「ぽのいえ」を運営する、獣医師・田口ゆかり先生に伺った。

保護の流れは大きく5ステップ

田口先生によれば、猫を保護したい場合の流れは年齢に関わらず、大きく5ステップ。

(1)猫の警戒心を解いた上で、捕獲する
(2)動物病院に連れていき、健康状態や身元を確認する
(3)警察に届け出を行い、飼い主の有無を確認する
(4)自宅に安心して過ごせる空間を作る(ケージ・トイレ・寝床など)
(5)猫に合わせた、食生活の環境を整える

最初は猫を捕獲するところから。

猫は捕獲に失敗すると警戒心が強まるほか、引っかかれるなどして、人間がけがや感染症になるリスクもある。そのため、触れずに捕まえられる「捕獲器」を置いて、近くで見守るのがベターだと、田口先生。

触れずに捕まえられる方法がベター(画像はイメージ)
触れずに捕まえられる方法がベター(画像はイメージ)
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「捕獲器は通販などで購入できますが、動物愛護センターなどで貸し出しているところもあります。詳しい使い方を聞けることもあります。設置したら内部に餌を置いて、その場を離れず、猫が入るまで静かに見守ってください」

置く餌は猫用のおやつ、缶詰などが望ましい。そして注意点も。捕獲器は公道に設置するのはNGなほか、私有地などに置く場合も、設置場所の所有者や管理者に連絡しておく必要がある。

動物病院でパニックを起こさないコツ

捕まえたら次は、健康状態のチェックと身元の確認を早めにしておきたい。

「健康状態を把握するため、動物病院に連れていきましょう。猫の情報や飼い主の連絡先などが確認できる、マイクロチップが埋め込まれているかも調べられます。また、感染症の検査も行えます」

パニックを防ぐため、猫が「安心できる」環境で動物病院に連れて行こう(画像はイメージ)
パニックを防ぐため、猫が「安心できる」環境で動物病院に連れて行こう(画像はイメージ)

動物病院に連れて行く際は、猫が入ったケース(捕獲器)の上からタオルなどをかけると、パニックを起こしにくいそう。ケースはできるだけ揺らさず、猫を安心させてほしいそうだ。

「保護した猫を診察できるかどうかは、動物病院に事前に確認しておくとスムーズです。病院によっては、対応していない、得意ではないこともあります」