5人が立候補した自民党総裁選挙では論戦が本格化していますが、24日の公開討論会では候補者どうしが個性や持論を封印し同調しあう場面も目立ちました。そんな中、当初、小泉進次郎さんと高市早苗さんの2強とみられていた構図から一転、林芳正さんが有力候補の1人として浮上しています。永田町取材では定評があるジャーナリストの鈴木哲夫さんが最新情勢を読み解きます。

川崎健太キャスター:
自民党総裁選の最新情勢について鈴木哲夫さんの解説です。まず、哲夫さんの独自予想では、議員票・党員票ともに現時点での1位は小泉進次郎さん、議員票の2位が林芳正さん。党員票についても林さんが高市早苗さんに並んで2位という見方です。林さんが一気に伸びているようですが その背景とは?

鈴木哲夫さん:
議員も全員はっきりと意思表明はしているわけではないけどもポツポツと表明しているのを見ると、林さんが高市さんを上回る感じになってきました。それはなぜかというと、やはり高市さんは今、保守色を少し消してみたり強めてみたりとちょっと中途半端な感じになっていますよね。(中途半端というのは立候補者)全員そう言ったらそうなんだけど、そういう意味で「高市さんにと思っていたけど、保守色が強すぎるのも困るし、野党との協力もどうなるかわかんない」というようなところで、第三の道というか安定感みたいなところで林さんに議員票は流れていっているという状況だと思うんですよね。

川崎キャスター:
そうなると当初の高市さんと小泉さんの2強ではなく、もしかしたら小泉さんと林さんとで決選投票の可能性が出てくるわけですが、そうなった場合はどちらが最終的に勝ちそうですか?

鈴木さん:
これはけっこう難しいんですけれども、やはり今のところ本命は小泉さんと高市さんの決選投票と言われていますが、林さんが抜けてくれば林さんと小泉さんの決選投票になるかもしれない。ポイントとしては3つあります。まずは党員票ですね。党員票はやはり高市さんが人気あるわけですよ。そうすると党員票というのは結局、国会議員にとって自分の選挙を支えてくれる人たちだから、党員が「高市さんかな」といえば決選投票で高市さんに流れていく可能性があるし、(党員が)「林さん」であれば林さんとなる。2つ目は連立の相手。「この人なら連立でどこと組む?例えば、維新とこの人なら組めるよね。でも維新と組まれたら、自分の選挙区は維新と戦ってるから…」と連立の相手によって変わってくる。そして3つ目は公明党ですよね。絶対に「保守中道で」と言っていて選挙協力もしてくれている。そういう議員にしてみると、公明党がどう考えているかというのも決選投票で議員の動きにかかわってくるとみていいと思いますね。

川崎キャスター:
まだまだ情勢は変わっていく可能性があります。

鈴木さん:
もう一言言っていいですか。今度の自民党総裁選は、これだけ危機なんだから(候補者が)もっと意見ぶつけるかと思ったらみんな丸くなって、 これはやはり票が欲しいからで、あんまりどっちかにとがりすぎると逃げていっちゃうから、なんとなく中庸みたいなことを言ってるでしょ。これでいいんでしょうかね。そこは言っておきたい。

川崎キャスター:
ここまで自民党総裁選についてお伝えしました。

(2025年9月25日放送「報道ワイド 記者のチカラ」より)

テレビ西日本
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