日々の食卓を直撃するコメの価格高騰。

消費者は「もっと安く」と願う一方、生産者は「今の水準でもぎりぎり」と訴えています。

いよいよ実りの秋が到来。

食欲をそそるこの季節、福岡市内のスーパーを訪ねてみると…。

◆記者リポート
「ありました。スーパーの店頭には待ちに待った新米が並んでいます。ただ、価格を見てみると税込み4500円を超えています」

この店では新米の販売価格が去年の1.5倍にもなっているということです。

とどまるところを知らない「令和のコメ騒動」にスーパーも頭を抱えています。

◆エムズ 美和台店 久松浩一 店長
「できるだけ安く売りたいが、仕入れ価格が高い分、赤字で売るわけにもいかないので…」

あらゆる物の価格が上がり続ける中、新米に期待していた消費者からは、収まらない価格高騰に落胆する声が相次ぎました。

◆買い物客
「新米が出て(値段が)もっと下がると思ったけど、全然下がらないのでちょっとがっかりです」

「季節的にはおいしいコメが食べられる時季。もっと食べたいのが本音だけどなかなかそうはいかない」

一方、生産者はどんな思いを抱いているのか、JAグループが主催した水田農業の現地視察で話を聞いてみると…。

◆記者リポート
「今年のコメの出来を教えてください」

Q. 今年のコメの出来は?
◆農事組合法人「西小田」 藤井徳浩さん
「今のところ目視でしか判断できないが、前年以上じゃないかなと」

この法人では、福岡県産の銘柄米「元気つくし」を栽培し、黄金色に実った稲穂は30日に収穫を始めるということです。

去年並みの豊作が見込まれていますが、コメの価格高騰について聞いてみると…

◆農事組合法人「西小田」 藤井徳浩さん
「米価が戻った形だと私は思っています。1990年や2000年ぐらい、30年前に戻ったということ」

農水省によりますと主食用米の価格は1993年産で60キロあたり2万3600円ほどでしたが、その後、食生活の変化に伴う消費者のコメ離れで需給バランスが崩れ、価格の下落傾向が続きました。

しかし、昨今の「令和のコメ騒動」で2024年産は2万4800円あまりまで上がりました。

生産者からすると「ようやく戻った」という感覚ですが、農機具や燃料、資材の値上がりなどで経営は依然として厳しい状況だといいます。

こうした現状についてJA福岡中央会は記者会見で…。

◆JA福岡中央会 乗富幸雄 会長
「農家は赤字でも我慢をしてきた。再生産ができる、苦労が報われるような価格でお願いしたいというのが私の考えです」

値上がりに理解を求めるいっぽう消費者の「もっと安く」という声もあるコメの価格。

「農家を支えたい」と「食卓を守りたい」という双方の思いの間で、JAは“板挟み”の対応を迫られています。

コメの価格帯は3つに分かれる見通しも

「コメの適正価格」とは何なのかを考えさせられますが、JA福岡中央会によりますと今後、スーパーでのコメの価格は以下のようになる見通しです。

いずれも5キロの価格で、4000円台の銘柄米(新米)、3000円台の外国産米、2000円程度の備蓄米と、極端な3つの価格帯のコメが並ぶことになりそうです。

このうち随意契約の備蓄米は最大で年内まで出荷が続くことが想定されるということです。

また外食産業は、今年の新米価格次第でコメの使用量を減らしたり外国産への切り替えが進むと予想されています

私たち消費者は価格を確認しながらコメを選ぶ時期がしばらく続きそうです。

テレビ西日本
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