福井鉄道は25日、グループ会社である福鉄商事の50代役員が約7000万円を不正に流用していたと発表した。この役員は10年もの長期にわたって不正流用を続けており、本人も横領を認めている。

内部告発がきっかけで発覚、バスツアーの売り上げを1人で管理

福井鉄道の発表によると、8月に内部告発があり社内調査をした結果、2015年9月から約10年にわたって約7000万円が不正に流用されていた事実が判明した。

福鉄の観光バス
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弁護士立ち合いのもとで事情聴取が行われ、当該役員は横領を認めたため、出勤停止を命じた。

この役員はバスツアーの売り上げ金などが振り込まれる口座を1人で管理していた。本来は、銀行窓口から自身の口座に振り込んだり、引き出した現金を会社の金庫で保管すべきところを手元に置いたりして着服していたという。

過去の内部告発者は異動命じられ退職

この不正流用については、過去にも内部告発があったことが明らかになっている。2021年には複数の社員から内部告発があったにもかかわらず、事実関係の調査など適切な対応が取られていなかった。

福鉄商事の事務所
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さらにその際、告発者の1人が特定され、意に沿わない異動を命じられたことで退職に追い込まれたという。このことから同社は、不祥事を告発しづらい企業風土があったことを認めている。

家族が全額弁済の見込みも、刑事告発も検討

福井鉄道は9月24日に臨時株主総会を開催し、横領した役員と、2021年の内部告発があった当時に社長を務めていた取締役会長を解任した。不正流用された約7000万円については、家族が全額を弁済する見込みだという。

しかし、会社側は刑事告発も検討しており、法的な責任追及も行う姿勢を示している。

再発防止へ外部専門家の知見を活用

福井鉄道と福鉄商事は今回の不祥事を受けて、外部専門家の指導や助言のもとでガバナンス強化を図り、再発防止に努めるとしている。

再発防止策
再発防止策

また、不祥事などを外部の弁護士などに相談できる体制を構築するなどの対策を講じるとしている。

福井テレビ
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