約30年前に、小学生の娘を交通事故で失った女性が米沢市の高校で講演した。事故の悲惨さを伝えながら、「誰も加害者にも被害者にもなってほしくない」と訴えた。
(渡邊理香さん)
「わずか小学校1年生の、6歳の女の子が、車の直撃を受け数メートル飛ばされ、思いっきり硬いアスファルトにたたきつけられてしまった…」
生徒たちに命を大切にする心を育んでもらおうと、県警などが行っている「命の大切さを学ぶ教室」。
24日、米沢中央高校の生徒・教職員約700人が参加した。
講師を務めた渡邊理香さんは、今から29年前に、当時小学1年生だった長女を交通事故で亡くした。
その後、交通事故遺族の会「こまくさの集い」を立ちあげて、被害者の支援などを行っている。
講演の中で渡邊さんは、事故直後の悲痛な思いや、娘の死を受け入れることができず自分を責めたこと、同じ境遇の人から気持ちを理解してもらいようやく心が軽くなったことなどを伝えた。
(渡邊理香さん)
「辛いことや苦しいことがあった時は、一人で抱え込まないで。いずれはあなたが周りの人に勇気や安らぎを与えられる、そんな人になってほしい」
(生徒)
「楽しく送れている学校生活も、家に帰ってお母さん・お父さんとたくさん話せる毎日も、一瞬で崩れてしまうということを実感した。今の“当たり前”を大切にしたいと思った」
渡邊さんは、「誰も加害者にも被害者にもなってほしくない」と繰り返し呼びかけ、生徒たちは大切な「命」について見つめ直していた。