2025年3月、岡山市南区を中心に発生した大規模な山林火災は9月23日で発生から半年を迎えました。当時、被害を最小限に食い止めるために最前線で活動したのは「まちの消防団」です。火災の他に豪雨や地震の際にも活動する消防団、全国で災害が頻発する中、今、防災面での役割の重要性が高まっています。現状を取材しました。

◆発生から半年 岡山市の大規模山林火災の最前線で消火活動を行った「まちの消防団」を取材

2025年3月23日、岡山市南区で発生した山林火災。焼失面積は486ヘクタールにおよび記録が残る中で岡山県内最大の被害となりました。

火が目の前に迫る最前線で消火活動を続けたのは「まちの消防団」です。今回の火災では人的被害や人が住んでいる民家への延焼を防ぎ、被害を最小限に食い止めました。

◆「家の裏側まで火が来ている」「なんとかして」の電話に…まちの消防団員は24時間体制で消火活動に

岡山市南区を管轄とする灘崎第三分団。消防車を点検しているのは市内に約100ある分団を指揮する片山敬史消防団長です。

(岡山市消防団 片山敬史団長)
「(住民から)どんどん電話がかかってきて「家の裏側まで火が来ている」「なんとかしてほしい」と言われて(団員は)それぞれの場所で消火活動をした」

岡山市によりますと山林火災ではのべ約6000人が現場に出動し、そのうちの約4割が消防団員だということです。発生当時、灘崎第三分団に所属していた片山団長も24時間体制で消火活動にあたりました。

(岡山市消防団 片山敬史団長)
「地元住民とのパイプがある。常勤の消防署員ではなかなか取りにくく、消防団員は地元の人とコミュニケーションをとって地元の状況が良く分かる。分かるからこそ、一番良い方法で防災活動ができる」

◆西日本豪雨の現場にも・・・消防団での常日頃の「備え」

灘崎第三分団はこうした火災の他に7年前の西日本豪雨でも現場で救助活動などを行っていて、ライフジャケットなど様々な装備をそろえています。

全国で水害や地震といった大規模な災害が頻発する中、消防団が活動する機会は増えていて岡山県は岡山市と玉野市の消防団に感謝状を授与。9月には「内閣総理大臣表彰」も受賞し、防災功労者として評価されています。

◆年々高齢化が進む岡山市内の消防団員 若者のなり手少なく平均年齢は47.8歳

一方で、岡山市内の消防団員の人数は4387人と10年前と比べ237人減少。多くが仕事との掛け持ちのため若者のなり手が少なく、ここ2年は増えているものの平均年齢は47.8歳と年々高齢化が進んでいます。

(篠原聖記者)
(ホースを持って)「重さは8キロ。人力でしか届かない場所では、これを担いで持っていく」

山林火災の消火活動は重さ8キロのホースを持って山道を駆け上がる重労働、消防団員の高齢化は深刻な課題です。

◆高齢化・重労働にも「地域は自分たちで守る」地域の防災リーダーとしての役割担う「まちの消防団」

(岡山市消防団 片山敬史団長)
「地域は自分たちで守る。若い人とコミュニケーションをとりながら、消防団の活動に理解してもらい、増やしていきたい」

火災から半年、現場の山は今も焼け跡が確認でき、県などは防災対策や復旧計画の策定を進めています。今、地域の防災リーダーとしての役割を担う「まちの消防団」の重要性が高まっています。

岡山放送
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