フィギュアスケートの中部選手権が9月19日から9月21日に行われ、男子は山本草太が5度目の優勝、女子は松生理乃が連覇を果たした。

この中部選手権で西日本選手権への出場権を獲得したシニア・ジュニアの選手たち、そして全日本ノービスを決めた選手たちを特集する。

【シニア男子】山本草太がV5

出場者全員が西日本選手権行きを決めたシニア男子。

今回で5度目となった山本草太が優勝。

今季4戦目となる山本は、直前のCS木下グループカップ前に腰を痛めるアクシデントが起こるも強行出場。今大会へ向けて練習を再開したのは、試合当日の3日前だったという。

中部選手権で優勝した山本草太(ショート)
中部選手権で優勝した山本草太(ショート)
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ショートでは無理をしないためシングルジャンプで挑むという選択もあったようで、「8年前を思い出して懐かしい気持ちになった」と語った。

山本が“懐かしい”と思い出したのは、2017年ケガ明けに出場した中部選手権のこと。

半年間で2度の骨折と3度の手術を繰り返し、氷上から離れる日々を過ごした。それから厳しいリハビリを経て、2017年に氷上へ復帰を果たした。

氷上に復帰した2017年に出場の全日本選手権
氷上に復帰した2017年に出場の全日本選手権

そのときの中部選手権でジャンプは1回転までしか跳べなかった。それでも最後まで滑り切り、西日本選手権で全日本選手権への切符を勝ち取った。今大会で、山本はこの記憶が蘇ったという。

フリーではジャンプの構成を落としながらも圧巻の演技を披露(中部選手権)
フリーではジャンプの構成を落としながらも圧巻の演技を披露(中部選手権)

フリーでも、今季から挑戦している4回転フリップは封印。ジャンプの構成は落とすも、『ハレルヤ』を圧巻の滑りで披露。FOD配信でトークゲストを務めた本郷理華さんも、そのスケーティング力に感動し、「4分間があっという間だった」と語った。

“山本草太のスケート人生を凝縮した”というプログラムで観客を盛り上げ、堂々の優勝を飾った。

「良いときもあれば悪いときもあると思う。それも含めてこの状況でどこまでやれるか、どうやって戻していけるか。自分でも楽しみだし、期待して待っていていただけたらなと思います」

スケート人生の中で、ケガと向き合いながら不撓(ふとう)の精神でここまで歩んできた山本。自らの経験を糧にして、五輪シーズンを突き進む。