2026年2月に開幕するミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けてのシーズンがはじまったフィギュアスケート。

今年の全日本選手権はその選考レースも兼ねているため、ひと味違うシーズンになりそうだ。

その五輪の代表争いを過去2度経験し、本気で狙うのが、27歳男子現役最年長の友野一希。シーズンが本格化する前の8月に行ったインタビューでこれまでを振り返ってもらいながら、今シーズンにかける思いを聞いた。

悔しさ残るシーズンに成長も実感

五輪のプレシーズンとなった2024-2025、友野一希は特に燃えていた。

プログラムでも成長を図り、羽生結弦さんや浅田真央さんを手掛けたシェイ=リーン・ボーンとローリー・ニコルにそれぞれ振付を依頼。

優勝を目指した全日本選手権は5位となり、3年ぶりの派遣となった四大陸選手権では、体調不良になりながらも日本勢トップの4位でフィニッシュした。

2024年の全日本選手権は5位に
2024年の全日本選手権は5位に
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「結果的にいえばすごく悔しいシーズンにはなりましたが、自分にとっては印象深かった。振り付けも新しい振付師の先生にお願いして、新しい表現といいますか、スケートの向き合い方や演技に対する向き合い方がガラッと変わったシーズンでした」

そんな五輪プレシーズンに、友野は一時スケートが出来なくなるくらいのケガも経験。これまで大きなケガをしたことがなかった友野にとって、これ以上にないピンチだった。しかし、これも一つのきっかけとして捉え、さらなる成長へと繋げてみせた。

昨シーズンが「学びが多かった」と振り返る友野一希(2025年8月)
昨シーズンが「学びが多かった」と振り返る友野一希(2025年8月)

「五輪シーズンの前年は一回崩れるといいますか、ボヤっとしていることが多くて。何かしら変わろうとして、それが上手くかみ合わなかった、そんなシーズンが多いですね」

「なので“次のシーズン、大丈夫だな”って、少し安心できた部分もあって。自分にとってはポジティブなシーズンだったし、学びが多かった。ケガをしないのが一番ですが、数年分ぐらいの成長させてくれたすごくいい経験になったシーズンだった」

友野少年と憧れの存在・町田樹さん

この日、取材が行われたのは、友野のゆかりの地「臨海スポーツセンター」。2017年、友野はこの場所で町田樹さんのソチ五輪壮行会の応援団長として、エールを送っていた。