注意すべきポイントの一つ目は、火災を起こして混乱を拡大させないこと。

被災時は避難や救助活動で混乱が予想される。そんな状況で火災が起きると、周りに迷惑をかけたり、二次災害につながる恐れも。

「使う前には周囲に引火物がないかを確認してください。車中などの狭い空間で火を付けると一酸化炭素中毒に至る危険性があります。閉め切った狭い空間では使用しないでください」

環境によっては点火しづらくなる(画像はイメージ)
環境によっては点火しづらくなる(画像はイメージ)

二つ目は“ドロップダウン現象”の対処法を知っておくこと。ドロップダウン現象とは、ボンベが冷たくなる環境で起きる「点火しづらくなる・火力が低下する」状態だ。

「目安として、一般的なボンベは気温が15℃以上であればストレスなく点火できますが、10℃以下だと点火しづらくなり、5℃を下回るとほぼ火がつきません」

「ドロップダウン現象」の対処法

被災時に起きると悩ましいが、どうすればいいのだろうか。岡本さんに聞いた対処法は、ボンベを“人間の体温であたためる”というもの。

火が付かないならボンベを「人肌ほど」になるまで、あたためよう(提供:日本ガス石油機器工業会)
火が付かないならボンベを「人肌ほど」になるまで、あたためよう(提供:日本ガス石油機器工業会)

服の内ポケットなどに入れ、人肌ほどになったと感じたらセットして点火してみる。うまくいかない場合は体温であたためる。これを火が付くまで繰り返せばOKだ。

ただし、ボンベを他の火などで直接、熱するのはNGなので、注意してほしい。

また、火が付きにくい場合は「ガチャガチャ」と早いピッチで点火動作を繰り返してしまうがこれも危険だ。

火が付かなかったとしても、ボンベからはわずかにガスが放出されている。蓄積すると、点火した際に大きな火となり、火傷などにつながるリスクもあるという。

「火が付かない場合は“一呼吸おいてから”、点火用のつまみを回してください」