手軽に火を使えて、非常時にも役立つカセットコンロ(コンロ)は、備えておくと便利なもの。だが、扱いには注意が必要だ。

未使用でも経年劣化していき、使い方によってはガス漏れや火災、一酸化炭素中毒といった、トラブルを招く恐れもあるという。

一般社団法人「日本ガス石油機器工業会」の岡本務さんに、事故を防ぐためのポイント、そして“やってはいけない使い方”を聞いた。

安全に使える目安は製造から10年

まず重要なのは、コンロを安全に使える目安は「製造から10年」であること。

コンロの内部には、カセットボンベ(ボンベ)の取り付け部がある。ここに「O(オー)リング」というゴム製の部品があり、経年劣化していくというのだ。

「Oリングの劣化が進むと、ガス漏れの危険性が高まります。ひび割れや変形が見られると事故のリスクも出てきます。保管状態にもよりますが、注意してください」

製造年月日の確認を(提供:日本ガス石油機器工業会)
製造年月日の確認を(提供:日本ガス石油機器工業会)
この記事の画像(6枚)

Oリングのひび割れや変形は目視できることもあるが、岡本さんが勧めるのは、本体の「製造年月日」を参考にすること。

本体側面に貼ってあるシールでチェックでき、製造から10年以上であれば、コンロごとの買い替えを検討してほしいという。

また、製造から10年以内でも、次の3点が見られると要注意だそう。

(1)コンロのガス通路周辺(ボンベの取り付け部から、火が出るバーナー付近まで)にさびや腐食が見られる
(2)ボンベがスムーズに取り付けられない
(3)ボンベをセットすると、ガス臭い

内部がさびることも(提供:日本ガス石油機器工業会)
内部がさびることも(提供:日本ガス石油機器工業会)

「目で確認しづらい部分がさびていることもあります。嫌なにおいがしたらガス漏れの可能性があるので、即座に使用を中止してください」

事故を招く“過熱状態”とNGな使い方

劣化していないコンロでも、使い方次第では、火災や事故が起きるリスクも。

岡本さんは「ボンベが“過熱状態”(熱くなりすぎること。危険な目安は40℃以上)にならないよう注意してほしい」 と話す。