「ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪シーズンは間違いなく“自分が本気で狙いに行く”シーズンになる、ことは3年前の世界選手権の時には感じて、本気の4年間になることをすごく感じていました」
日本のトップを走る友野にとって、この4年は特に濃かった。

10度目の出場となった2022年の全日本選手権で悲願の表彰台に上ると、そのシーズン日本開催の世界選手権を自力でつかみ、持ち前のステップで世界最高評価を獲得。
男子史上最高の戦いと評された2023年の全日本選手権では神演技連発のトップバッターを務め、大歓声を浴びた。

そして2024-2025の五輪プレシーズンでは変化を求めて振付師を変更。衰え知らずのベテランは進化を求め続け、その中で準備をしてきた。
「着実に成長もして、世界選手権を自力で出場できて、フリーもパーソナルベストや全日本でいい演技ができたり。希望も見えて、少しずつ土台もできて、演技構成点も安定してきた。ケガの経験もしっかりできたということで、しっかり1つ1つクリアできてきている。準備はできたなと思います」

その五輪シーズンに選んだ勝負のプログラムのショートは『That's It (I'm Crazy)』。
得意なことや自分の魅力、そしてシェイ=リーン・ボーンの魅力など、できることをすべて詰め込んだという。片手側転を組み込んだダイナミックな演技もあり、友野らしさ全開の攻めのプログラムだ。
フリーは2シーズン前の『Halston』を再演。以前のインタビューで友野はこのフリーについて、「僕が『やりたい!』って思ったスケートの完成形」という表現をしていた。

「『Halston』はもともと五輪シーズンに向けて作っていました。正直新しいプログラムを作るか、最後の最後まで悩みましたが、いろいろ考えてあのときのシーズンの点数の安定感や、ジャンプも決まりやすかった曲との相性の良さもあったので、より完成された、競技としてもより勝てるプログラムにしたかった」と、再演を決めた理由を語った。