ゆずちゃんは当初から物おじすることがなく、堂々としていて、ちょっぴりおてんば。試しにお客さんに見せてみたところ、猫好きたちの心を瞬く間につかんだという。

口コミで“壁からの救出劇”を聞いたお客さんが訪れるようになり、「かんなわ ゆの香」は、猫が迎える旅館として認知されたそうだ。
ゆずちゃんは2019年には、民間の「全国の宿 自慢の看板猫ランキング」で1位にもなったが、その性格はまさに“猫らしい”そう。「お客さまにも容赦がないんです。しつこくなですぎると猫パンチが飛んできます」と葛城さん。

ただ、宿泊客がチェックアウトする際には、近くに行って見送りをする優しい一面も。職務をきっちりとこなしているのだとか。
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お客さんを笑顔にするおもてなし
思い出を作りたい、精神的に疲れた…。旅館にはいろいろな理由で人が訪れるが、ゆずちゃんの存在は癒しになっているという。

「認知症のお母さまを連れたご家族がいらっしゃいまして、チェックインの際に普段とは違う環境に戸惑われたのか、お母さまが『こんなところ嫌だ。帰る』とおっしゃいました」
ところが、ゆずちゃんを見ると「昔飼っていた猫の爪を切りすぎてね、怒られちゃったのよ」と家族も知らないような“猫エピソード”をうれしそうに話しはじめたのだ。
「チェックアウトの時はニコニコして帰られました。やっぱり猫の力はすごいなって」
ゆずちゃん以外にも4匹の看板猫が!
そんな「かんなわ ゆの香」では他にも、縁があって保護された看板猫がいる。

支配猫(しはいにゃん)のかぼすくん、ねこ番頭のざぼんくん、バイトリーダーのあまなつちゃん、バイトのはっさくくんだ。
※名前の前にあるのは、旅館での“肩書き”