ひょっこり現れたニャンコが、国内外からお客さんを呼ぶ“招き猫”に。
東京・台東区にある、手すき和紙の販売店「和紙ラボTOKYO」で暮らす、三毛猫のかみちゃん(メス・推定8歳)はそんな存在だ。
病気による命の危機を乗り越えたともいう、かみちゃん。元気に活躍するまでの経緯を、店主で飼い主の篠田佳穂さんに聞いた。
店の前にフラっと現れ、入ってきた
出会いは2022年6月のこと。篠田さんが店から外を眺めていると、大きな声で「ミャー」と鳴き続ける、三毛猫を見つけた。
通行人にスリスリするなど、人懐っこい様子だったという。間もなくその三毛猫は、開けていた店のドアからスルッと迷い込んできたのだ。

「声がかれていたので放っておけなく、水を飲ませてあげました。すると一気に飲み干したんです。それでもお腹が空いていたのか、一向に店を出ようとしなくて」

そんな様子に根負けした、篠田さん。猫用の餌を買ってきたところ、テーブルの上で自宅のようにくつろぐ、三毛猫の姿があった。
「慌てて戻ったら、横になっていました。大物なのかなと思いましたね」
帰る様子もなかったので、状況が落ち着くまで一時的に保護することにしたそうだ。
飼い主は見つからず…そして異変が
ただ、篠田さんは当初、飼うつもりはなかったという。獣医師の見解や人慣れしていることもあって「この子は飼い猫かもしれない」と感じたからだ。名前も付けなかった。
迷い猫のポスターを作って店先に貼ったり、警察や保護団体に連絡したりするなど、数カ月間にわたって飼い主探しに奔走したが、結局は見つからなかったそうだ。

そうした中、三毛猫は夜通し鳴いたりする行動が目立つように。獣医師に相談したところ、発情期であることが分かった。