神戸市のマンションで24歳の女性が殺害された事件。

殺人の疑いで逮捕された男は女性について「全く知らない人です」と供述していて、約50分もの間、女性を付きまったとみられています。
        
その後、女性の後についてオートロックのマンションに侵入したという手口だったとみられていますが、こうした危険からどのように身を守ればいいのでしょうか。

25日放送の関西テレビ「newsランナー」では、大阪府警で約20年勤務した折元洋巳さんが「オートロックは全く安全ではない」と指摘。

「オートロックの落とし穴」を解説しました。

■「オートロックは安全ではない」と折元さん

【元大阪府警 折元洋巳さん】「オートロックというと、皆さんは『外から鍵を回して』とか、『暗証番号や部屋番号を押して、中の人と通話して、遠隔で開けてもらって入る』という(イメージ)ですけども、 中から出るときは『自動的』に開きますよね。あれはセンサーで(開いてる)。

あれを、詳しくは言わないですけれども、外側からセンサーを感知させれば開くということなんですね。

これは善意の第三者をシャットアウトする状況ですけど、悪意の持った奴はなんぼでも入れるということなので。そういうことをちょっとでも知ってもらって、『オートロック=安全』という、そういった一般的な概念はですね、できたら捨てていただきたい」

■「オートロックの落とし穴」人目につかない、油断しやすい場所

不審者の侵入を完全に防ぐことは難しく、「オートロックの落とし穴がある」と折元さんは3つのポイントを挙げました。

1つ目は、「犯罪者は簡単に入ることができる」

2つ目は「入ると人目に付かない」

3つ目は「中にいる人は油断している」

【元大阪府警 折元洋巳さん】「『入ると人目に付かない』。皆さんもそうだと思いますけど。道を歩いてて、オートロックのマンションにガラスがあります。皆さん見てますか?一般的な人はそんなにまず見てないです。

建物自体もそんなに見るような状況になってないはずなんですよ。特に今回の事件のマンションは映像で僕も見てますけど。最初は鍵のかからない木目のシート貼った扉がありますが、その中はまず見えない。そこを開けてからオートロックという形になってますから。基本的に外部の目からはあまり晒されていないということですね。

『中にいる人は油断している』とはどういうことかと言うと、オートロックのところだから、中で会った人は、『自分は会ったことないけれど住民』もしくは『住民に招き入れられた人』としか思わないので、基本そこから入ってしまうと凄い安心してしまうんですよね。だけど実際は簡単に入れるわけですから。安心してはいけないところで安心してしまうというところが非常に落とし穴」

■被害防ぐには「イヤホン・ながらスマホNG」

【竹上萌奈キャスター】「オートロックのすり抜けを防ぐのは難しいんだなと感じました。私自身はマンションのエレベーターで男性と2人きりで乗るような場面になりそうな時は、お先に譲ったり、郵便受けの方で時間を潰したりということもするんですけれど、それでもこのような事件が起きると、とても不安に感じますね」

この事件では、男は被害女性の後ろを50分以上付いて尾行していたとみられていますが、どうすれば防ぐことができるのでしょうか?

被害に遭わないために、折元さんは「イヤホンで音楽を聴きながら歩いたり、ながらスマホ歩きはNG」「駅から家までの危険なポイントをチェック」と呼びかけます。

また、「家がバレてしまったらとても危険で、待ち伏せをされるおそれもある」ということです。

【元大阪府警 折元洋巳さん】「例えば刑事が相手を張り込むときも、家がわかってるわけなんで、事前にどこに隠れていたら分からないかというのは、分かっていますから。もうそこまでバレてしまうと、本当に危険な『狙われる側』と『狙う側』に分かれてしまう。

だから一番大事なのは、エントランス入ってからとか、エレベーター乗ってからだと、その時は既に危険な状況ですから。理想は会社から家までの間ですね。学校から家までの間、できるだけ早期に、何かもし尾行でもされてたら知る方がいい訳です。人間って実は、後ろもなんとなく感じる第六感的な何かがあるんですよ。

だけど、イヤホンで音楽を聴いてる。あるいは『ながらスマホ』、これは自分の能力を全部シャットアウトしますから、私を狙ってくださいというのと一緒なんですね。

だからこれは交通事故の危険とかも、もありますけれども、それよりも自分自身を守るために、歩きながらの音楽とかですね。スマホ見ながら歩くのはやめていただきたい」

■「入りやすくて見えにくい場所」には要注意

さらに、この事件では50分以上にわたって尾行されていたとみられる中で、男は「成功しやすそうな場所」を狙っていたのではないかと指摘します。

【元大阪府警 折元洋巳さん】「今回の場合、50分という長い時間でいっぱい色んな場所があったと思うんですね。犯罪が起きる場所っていうのは、犯行しようと思う人間が『ここやったら成功しそうやな』って思う場所なんです。

それを端的に言うと、『入りやすくて見えにくい場所』ですね。だからオートロックの中はまさしくそういう状況です。そういった本当に入るのは簡単なんだけど、中が見えにくい場所がもしあったら、そこは常に注意して、できるだけその道は避けるとか、そういうふうにしていただく。近くまで来させないことで、注意していただければと思います」

(関西テレビ「newsランナー」8月25日放送)

関西テレビ
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