先週、神戸市のマンションで24歳の女性が殺害された事件。
殺人の疑いで逮捕された男はどういった人物なのか。
取材で見えてきたのは、男の過去にあった“ある事件”と、女性に対する二面性だった。

■神戸市で女性を殺害した疑いの男を東京で逮捕
神戸市中央区のマンションのエレベーター内で、住人の24歳の女性をナイフで複数回刺し殺害した疑いで逮捕された、容疑者の男(35)。
警察の調べに対し、女性について「全く知らない人です」と供述している男。
なぜ女性を狙うことになったのだろうか。
「newsランナー」は、事件前まで住んでいた東京を中心に、男のことを知る人物たちに接触。
そこで見えてきたのは、関係者たちが語る人物像と、今回の事件や男の過去との間にある乖離(かいり)だった。

■容疑者の勤務先の社長は「好青年、めちゃめちゃ腰低い」 一方で「昔やんちゃしてた」
勤務先の代表取締役:好青年!好青年!無遅刻、無欠勤、お客さんからのクレーム0。
こう語るのは、男の勤務先の運送会社の社長。
見せてくれたのは、採用面接時の男の履歴書だ。
履歴書によると、大阪府豊中市の中学校を卒業後、コンピュータ関連の学校へ。
2011年からは、神戸市内の会社で10年以上勤務。
職を転々としながらも、いまの会社には2年前から勤務していた。
一体なぜ東京に来たのだろうか。
男の勤務先の代表取締役:(男は)『昔やんちゃをしていまして、悪い友達と縁を切るために関東に来ました』と面接のときには、私にはそう伝えました。口頭で逮捕歴があるかどうかを聞いたところ、『逮捕歴はありません』という返答でした。
社長はおととしから男をドライバーとして雇用。
勤務態度は朝も人より早く出勤するなど、真面目そのものだったという。

■「めちゃめちゃ腰低いですよ。すごくいい子」と勤務先の社長
男の勤務先の代表取締役:腰低いですよ、めちゃめちゃ腰低いですよ。すごくいい子。お客さんからの信頼も厚く、『こうしたほうがいいですよ、ああしたほうがいいですよ』とか、提案も本人から上司にあげてくるぐらい真面目なドライバーです。
(Q怒った瞬間を見たことは?)
男の勤務先の代表取締役:ない、僕は見たことない。

■別の会社の同僚は「真面目、評判は良い」
また2年前に働いていた別の会社の元同僚も…。
千葉時代・男の元同僚:(男から)当時、地元が神戸、関西というのは聞いていたので、真面目に仕事をやっていると評判は良かったですね。
「仕事に対して真面目だった」と口をそろえる容疑者と関係のあった人たち。
しかし、取材を進めるとそんな人物像からはかけ離れた、男の“過去”が明らかになったのだ。
■3年前には神戸で女性を襲い執行猶予付きの有罪判決
記者リポート:男は、過去にも女性を襲ったり付きまとったりしたなどとして、傷害やストーカー規正法違反の罪などで、執行猶予付きの有罪判決を受けていました。
今から3年前の2022年、神戸市中央区で当時20代の女性が住むマンションの部屋に侵入し、首を絞めるなど全治3週間のけがをさせた。
男はそれまでにも何度も、この女性と一緒にエレベーターに乗り込み、女性を撮影したり、話しかけたりしてつきまとっていた。

■関係者は「女性との接点を見たことがない」と証言
今回の事件と同様に、女性をターゲットにして危害を加えた過去があった男だが、関係者たちは男の“女性関係”についてこう証言する。
男が勤める会社の代表取締役:店(取引先)の女の子にちょっかい出したっていうのも聞いたこともない。自分から女の子に声掛けたり、そういうことは見たことない。
神戸時代の元同僚:彼は女性好きとか、キャバクラやガールズバーに行くタイプではなく、硬派な印象でした。
一様に「男が、女性と接点を持つところは見たことがない」というのだ。
「真面目で温厚」という証言とは、食い違う過去の事件。そして今回の容疑。
警察は動機などについて詳しく調べている。
(関西テレビ「newsランナー」2025年8月25日放送)