長崎では8月15日にお盆の伝統行事「精霊流し」が各地で行われた。事前に届けられた2m以上の船は703隻。家族や友人が故人に思いを馳せながら、けたたましい爆竹が鳴り響く中、精霊船を流した。
大小様々な船が故人の御霊とともに
15日夕方から、長崎の街はけたたましい爆竹の音が鳴り響いた。お盆の伝統行事「精霊流し」だ。

長崎市の精霊流しのメインとなる県庁坂通りでは、午後7時を過ぎると灯籠にあかりを灯した大小様々な精霊船が並んだ。流し場となる大波止に向かって、船がゆっくりと進んで行く様子が見られた。

精霊流しは初盆を迎える家が故人の御霊を浄土に送るため、船に乗せて流す長崎の伝統行事だ。

船には花などのほか、故人が好きだったものが飾られる。
ド派手に盛り上げながら
矢竹家の船には、故人が大好きだったビールのバルーンが飾り付けられていた。

この春、51歳で亡くなった矢竹亮さんを乗せた船だ。長年、報道カメラマンとして現場の撮影や編集に明け暮れた。

仲間想いで後輩たちに慕われていた亮さん。早すぎる死に同僚たちは悲しさで打ちひしがれた。
船は親戚や仲間たちで飾り付けをした。

印燈籠にはそっくりのイラストが施され、船には大好きだったビールをバルーンであしらった。

親戚や仲間たちとともに流し場へ向かった矢竹家の船。賑やかなことが大好きだった亮さんのために、みんなでド派手に盛り上げながら船を流そうと決めた。

姪の千歩さんは「小さい頃にバイクに乗せてもらったルートを通ったので懐かしく思った。派手なこと、騒がしいことが好きだったので、全員でド派手に盛り上げて進めているから『ちゃんと楽しめているかい?』と聞きたい」と話した。

みんなで「ありがとう」の気持ちを込めて、流し場へ向かった。

長崎の夏の風物詩を見ようと沿道にも多くの人が集まった。喧騒の中にも、どこかもの悲しさが漂う精霊流し。長崎は故人を偲ぶ思いに包まれていた。
(テレビ長崎)