学術的に貴重な地形や地質を保全し教育などへの活用を目指す自然公園「ジオパーク」。日本ジオパーク委員会は2025年10月6日、鹿児島・喜界島を「日本ジオパーク」に認定した。

隆起サンゴ礁による特色ある景観などが評価されたもので、鹿児島県内4地域目の認定だ。島では国内外へのアピールに期待を寄せている。

ジオパーク認定の連絡に喜ぶ関係者 町長は「今からスタート」

10月6日午後4時過ぎ、喜界町役場・町長室の電話が鳴った。受話器を取り「ありがとうございます」と答えた隈崎悦男町長、立ち上がると「皆さん、喜界島、ジオパークに認定されました!」と詰めかけた職員らに伝えた。

沸き起こる大きな喜びの拍手。中にはハイタッチする人もいた。報道陣の取材に応じた隈崎町長は「認定がゴールではなく、今からスタート。これからどのように運営していくか、日本から、もしかすると世界を目指すかもしれないから」と展望を語った。

「今からがスタート」と語る隈崎悦男町長
「今からがスタート」と語る隈崎悦男町長
この記事の画像(6枚)

世界的にも珍しい隆起速度を持つサンゴ礁の島

喜界島は10万年前、サンゴ礁が隆起してできた。年間平均2ミリというペースで隆起を続け、このような速度で隆起する場所は世界的にも珍しいとされている。

島内には階段状の「段丘」と呼ばれる特徴的な地形が見られ、海岸線にも隆起したサンゴ礁の痕跡が確認できる。これらの地質学的特徴は、地球の歴史を知る上で貴重な研究材料となっている。

階段状の特徴的な地形は「段丘」と呼ばれる
階段状の特徴的な地形は「段丘」と呼ばれる

また、「サンゴ礁文化」とも呼べる独自の生活様式が根付いており、島民は家の風よけとなる石垣や、イモを洗う鉢などにサンゴを利用してきた。

石垣や鉢などにサンゴを利用する「サンゴ礁文化」が根付く
石垣や鉢などにサンゴを利用する「サンゴ礁文化」が根付く

官民一体となった2年間の取り組み

喜界町では2年前から官民一体となってジオパーク認定を目指す活動を展開してきた。審査過程では島の「特色ある景観」などの点が高く評価されたという。

隈崎町長は認定の意義について「自分の住む島が隆起サンゴ礁という世界的にもまれな島だと認識して、それを世界へアピールすることで喜界島の人口減少が少しでも食い止められ、未来に明るい希望が持てるのではないか」と語り、地域活性化への期待を示した。

審査では「特色ある景観」などの点が高く評価された
審査では「特色ある景観」などの点が高く評価された

鹿児島県4地域目の認定 観光振興や環境保全に期待

鹿児島県内にはこれまで「霧島」「桜島・錦江湾」「三島村・鬼界カルデラ」のジオパークがあり、喜界島が4地域目となった。今回の認定を受け、今後の観光振興による経済活性化や環境保全の促進などの効果が期待されている。

島の隆起が今後も続くことで、さらに変化していく喜界島の地形。世界的にも貴重なこの現象を観察・研究できる場として、また独自の文化を育んできた島として、今後さらに注目されるにちがいない。

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。