ただ、忘れないでほしいのが、どんなに備えても「100%の安全」「被害ゼロ」はありえないということ。

中には、「食器が大好きで飾りたい。でも1枚も割りたくない」という人がいます。しかし、残念ながら防災では「絶対」を約束することはできません。

これからは防災より「減災」へ考え方のシフトチェンジをしていきましょう。「もし落ちたら…」をイメージしながら、被害を可能な限り小さくすること、そして、できるだけ復旧・復興へ進みやすくすることを考えます。

減災を意識しながら、日々の暮らしを無理せず過ごせる形を見つけること、それこそが防災収納の目指すべきゴールです。

危険が多いキッチンは「隠す収納」

家の中でもとくにものが多く、火を使うキッチンは危険がいっぱい。能登半島地震で被災した知人は、「電子レンジが飛んで、壁に穴があいた」と話していました。

「落ちる」「倒れる」「移動する」にしっかり備え、「隠す収納」を基本に考えましょう。使用頻度が高く出しておきたいものは、対策をして使いやすい位置に。

ただし、どれだけ備えても「絶対」はありません。「揺れたらキッチンから離れる!」ことを忘れずに。

コンロ周りに置くものは最小限に(画像:イメージ)
コンロ周りに置くものは最小限に(画像:イメージ)

●コンロ周りはすっきりさせて。火事・やけどのリスクを最小限に
地震が起きたとき、最優先すべきは身の安全の確保。火を消すのは揺れが収まってからです。そのため、コンロの周辺には火災の原因となるものはもちろん、ものは最小限に。わが家は、砂糖と塩のポットだけを置いています。

●飛んでくる鍋や刃物は必ず隠す収納を
鍋や包丁を出しっぱなしにしていると、飛んできたり落ちてきたりする可能性が。命にかかわるので、毎日使うものでも隠す収納を。刃物を使ったあとはシンク下の収納に入れる、を習慣づけて。

●天井までの隙間には発泡スチロールを挟み転倒防止
市販の耐震グッズが入らない、キッチンボードと天井のわずかな隙間は、発泡スチロールで転倒防止を。隙間を埋めることで家具が動きにくくなり、避難のための時間を稼げます。