ADHDはコントロールが苦手

ADHDの人は、気持ちや感情のコントロール、モチベーションや注意のコントロール、集中や衝動のコントロールが苦手だという。

そのため、学校の先生や親に言われても、自分が興味ないものには意識を集中させることができない。気が散りやすく、同じミスを繰り返したり、忘れ物も多い。

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また衝動を抑えることも苦手で、思い立ったら我慢できずすぐ行動に移したり、順番が待てない、落ち着きがないなどの特徴もある。

一方で好きなことや興味あることに関しては過集中になり没頭してしまう。

これらをコントロールするためにはどういった治療が行われるのか。

本田医師は主に「環境整備」と「トレーニング」「薬物療法」の3点を挙げる。

ADHDの治療法

まずは、子供を取り巻く環境の調整を行うことが大事だ。教室では子供が集中しやすい空間を整え、先生に必要なサポートをお願いする。

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「子供は担任の先生など周りとの関係性に困っているケースが多いので、まずは周囲の理解を得るなど環境の調整を行います。

本人には『病気じゃないよ』と説明して、感情のコントロールや学校生活への適応力を上げるトレーニングをします。例えば、不注意が問題なら『メモをとろうね』とか、書き取りが苦手なら『写真を撮って保存するよ』など具体的な対策を指導します」

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一方、親に対しては「ペアレント・トレーニング」を行う。

これは親がADHDの特性を正しく理解して、子供の行動への効果的な対応を学ぶプログラムだ。親子のコミュニケーションを改善し、親のストレス軽減にもつながるという。

そして、これだけで解決しない場合は、薬物療法が検討される。

「薬には脳内のドーパミンの分泌を活性化する成分が入っているので、飲んでいる時は集中力が増してパフォーマンスが上がりますが、切れれば通常に戻ります。ただ、人間は毎日学習しているので、成功体験が積み重なって特性が認められれば、いずれ社会人として適応できるようになっていきます」

生まれ持った脳の特性を変えることは不可能だが、医師や心理士らによるトレーニングを継続することで少しずつ日常や学校生活での困難を減らすことができるようになるというのだ。