「落ち着きがない」「何度言っても同じミスを繰り返す」
子供の行動に戸惑い、育てにくさに悩む親は少なくない。

自分の愛情不足や接し方に問題があるのではと考える親もいるかもしれないが、発達障害は生まれつきの脳の機能的な違いによって起きるもので、育て方が原因ではない。

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中でも最近認知度が上がっているADHD(注意欠陥多動性障害)は、子供の生活環境や治療によっては「個性」や「才能」として伸ばしていくこともできるというのだ。

長年、発達障害の子供たちを診察してきた本田真美医師に、ADHDの子供たちが持つ特性をつぶすことなく、社会に適応できるようになるための治療法を聞いた。

ADHDは突出した「才能」にも

ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」を主な特徴とする神経発達症の1つだ。

本田医師によると、これらは誰しもが持っている特性で、学校や社会に適応できていれば「個性」、できていなければ「障害」とみなされる。

医療法人社団のびた・本田真美理事長
医療法人社団のびた・本田真美理事長

「私がよく言うのは『ある先生の時は個性で済んだのが、別の先生が担任になったら発達障害になってしまう』ということです。

昔だったら知的障害も発達障害も同じ普通学級で勉強していたのが、2007年に始まった特別支援教育によってサポート体制が整備された結果、特別学級で救われる子もいれば、必要のない子まで振り分けられるケースが出ています」

つまり、個性とするか発達障害とするかは、周りの環境や接する人達の理解によって判断が分かれるというのだ。

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「起業家やスポーツ選手など世界で活躍する著名人の多くはADHDの気質を持っていると思います。

衝動性が高く、クリエイティブでアイデアマンというのはADHDの所見です。そうした突出した才能をつぶすのではなく、自分も周りの人もその特性を認めて、良い所を伸ばしていくのが今の流れです」