ではどういった治療法があるのか。

一般的には薬物療法と心理士らによるカウンセリングやスキルトレーニングが行われる。

薬はADHDを治すものではなく、症状をコントロールして学習や仕事に集中しやすくするなど、日常生活での困難を減らす手助けとなる。

薬で頭の中を整理

日本でADHDの治療に承認されている薬は4種類ある。

コンサータ(中枢神経刺激薬・6歳以上)
ストラテラ(非刺激薬・6歳以上)
インチュニブ(非刺激薬・6歳以上)
ビバンセ(中枢神経刺激薬・6歳-17歳)

「ADHDの治療薬としてよく使われる『コンサータ』は、神経伝達物質の働きを調整し、注意力・集中力を改善する作用があります。

ドーパミンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙での働きを高める中枢神経刺激薬なので、比較的短期間で効果を感じられる人が多く、頭の中が整理され、周りのことに気を取られず勉強や仕事に集中できるようになります。

ただ、人によっては気持ち悪くなったり、効果が切れた時にイライラの症状が出る場合もあります」

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

一方、ストラテラとインチュニブは非刺激薬なので、効果を実感するのに2〜6週間ほどかかるという。

コンサータとビバンセは覚醒作用のある成分が含まれるため、日本では国に厳しく管理されている。医師なら誰でも処方できるわけではなく、処方登録医の資格が必要だ。患者は毎回同じ医療機関と同じ薬局で、使い切る量だけを処方してもらうという厳格なルールが定められている。

Mさんも学校がある日は薬を飲むことで、授業や宿題に集中できるようになったという。また学校側との話し合いで、試験時間や宿題の提出期限の延長なども認められている。

日本でも認知が広まりつつあるADHD。

学校や職場で不便を感じるようであれば、独りで悩まず一度心療内科を受診してみてはいかがだろうか。

プライムオンライン特集班
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