イランとイスラエルの軍事衝突で、アメリカもイランの核施設爆撃に踏み込みました。
映像で検証します。

イスラエル情報機関「モサド」の映像公開

6月13日、イスラエルは1500km離れたイランのウラン濃縮施設があるナタンズを空爆。大胆不敵な軍事作戦のカギは…。

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能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
イスラエルの情報機関「モサド」です。本来、活動が表に出てこないモサド隊員たちのイラン国内での活動の映像を公開。イスラエルが時間をかけて標的の位置、破壊手段、通信などを徹底的に調べ上げ、計画を立てたと見せつけているようです。

もう1つは地理的な問題をクリアしたことです。

イスラエルとイランの間には、ヨルダンやイラクなどが位置しているのに各国の防空システムをかいくぐったのです。作戦成功の理由は、イスラエル国防省が公開した映像に映っていました。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
F-35Iステルス戦闘機です。日本やアメリカで運用されているF-35Aのイスラエルバージョンです。レーダーに映りにくい特性はそのままに特別な燃料タンクでF-35Aより飛べる距離を長くし空中給油なしでイランの奥まで往復できたのではとも指摘されています。

イランの防空システムを次々に破壊したイスラエルは、他の戦闘機も投入。20日には「イラン上空で自由に活動し、イラン軍の軍事目標を攻撃している」と宣言しました。

イランの弾道ミサイル「エマード」

対するイランはドローンや弾道ミサイルを投入。

なかでも弾道ミサイル「エマード」は、弾頭が爆発するだけでなく燃料や酸化剤を燃やして切り放された全長15メートル以上の巨大ブースターが空から落下してきます。中には猛毒の酸化剤が残っているかもしれないのです。
イランは、400発もの弾道ミサイルを放ち、その内、約40発がイスラエルの防空網をくぐり抜け着弾したとされています。

一方、イスラエル軍はミサイル発射装置破壊の映像を公開。エマード・ミサイル用であることをわざわざ明示して、戦果を誇ったようです。

アメリカはB-2爆撃機投入

そして、日本時間22日朝、アメリカのトランプ大統領は、フォルドウなどイランの3カ所の核施設を爆撃したと発表。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
アメリカは地中深くの標的を狙える大型爆弾を投下できるB-2爆撃機を使ったわけですが、イスラエルがイランの防空システムを破壊し、イラン領空に大型爆撃機が入りやすい今が作戦のタイミングと判断したのかもしれません。
そして、現在、中東に向かっている空母ニミッツの艦隊の戦闘攻撃機や巡航ミサイルがモノをいう可能性を匂わせて、トランプ政権はイラン側の譲歩を引き出す、そんな狙いがあるのかもしれません。
(「イット!」6月22日放送より)

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イット!
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能勢伸之
能勢伸之

情報は、広く集める。映像から情報を絞り出す。
フジテレビ報道局特別解説委員。1958年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。報道局勤務、防衛問題担当が長く、1999年のコソボ紛争をベオグラードとNATO本部の双方で取材。著書は「ミサイル防衛」(新潮新書)、「東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか」(PHP新書)、「検証 日本着弾」(共著)など。