日本酒の原料となるコメが不足しているという声が上がっている。実際に福井県内では、2025年産の酒米「五百万石」の集荷が4割ほど減ることが見込まれている。これに伴い酒販売店は、日本酒の価格が「1.5倍になる」と話す。

「ほぼすべての蔵元が値上げ」

福井県内ほぼすべて、約30の酒蔵の地酒を揃える福井駅構内にある日本酒販売店「みずもと」。運営する福井酒販の飯田雄真専務は今後の日本酒の価格について「県内ほぼすべての蔵元から来年以降、一気に値上がりする話をされている」と話す。

福井酒販の飯田雄真専務
福井酒販の飯田雄真専務
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手間がかかり買い取り価格が低い酒米

運送費やビンなどの資材価格の高騰もあるが、大幅な値上がりの背景には酒米の不足がある。「酒米を作っている農家が主食用米に流れていて、酒米が足りない」というのだ。
  
JA福井県が農家に支払うコメの価格をみると、2024年産は現状、酒米が1俵あたり1万5200円に対し、コシヒカリは1万9200円と4000円の開きがある。

農家に支払われる2024年度産米の価格
農家に支払われる2024年度産米の価格

そもそも、酒米はコメの粒を大きく育てる必要があり、水管理や肥料に一層の手間が必要。これに“令和の米騒動”が拍車をかける形となり、これまで酒米を作っていた農家がコシヒカリなどの主食用米に生産をシフトしているというのだ。
   
福井県酒造組合によると、県内の地酒に多く使われる酒米「五百万石」の2025年の集荷量は、前年の600トンからその6割ほどの360トンになると見込まれている。つまり前年の4割減だ。
   

水管理や肥料に手間がかかる酒米
水管理や肥料に手間がかかる酒米

備蓄米の転用は「できなくはないが…」

みずもとの飯田専務は「どれくらい上がるか見当つかない蔵元多いが、おそらく1.5倍くらいになるのでは」と予測する。
   
業界からの声を受けて、小泉農林水産相は備蓄米を酒造り用にも放出する考えを示したが、飯田専務は「できなくはないが、すごく“複雑”な味わいになるのでは」と懐疑的だ。

備蓄米は日本酒業界の救世主となるのか…
備蓄米は日本酒業界の救世主となるのか…

“令和の米騒動”は主食のコメだけでなく、日本酒にも影響を及ぼしている。

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福井テレビ
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