神をまつるために舞う神楽が大好きな少年・千田 栄樹(ちだ・えいじゅ)君。〈神楽のイベントで舞いたい〉という思いが届き、宮崎県・日之影町の神楽まつりに招待されました。
その一日に密着しました。

(東京/5月23日)
【熊本県 木村 知事】
「神楽は古来より日本各地の歴史や風土に彩られた深い郷土愛により、継承されてきた。現存するものは4000を超え、そのうち40件は国の重要無形民俗文化財として指定されており、まさに日本文化を代表する伝統芸能である」

東京で5月、『神楽』のユネスコ無形文化遺産への登録を目指す決起大会が行われました。2026年の日本の候補は『書道』で、『神楽』は2028年の登録を目指しています。日本から提案できる候補は1つだけで、ほかに温泉文化、俳句、和装文化などが提案を目指し、活動しています。

【宮崎県 河野 知事】
「神楽という伝統文化を保存、継承していくことが地域の元気、活性化につながっていく。我々の地域社会を将来につないでいくことになる。そのように考えております」

【全国神楽継承・振興協議会 後藤 俊彦 会長】
「応援し、支え合って力を合わせることによって、大きな勇気の輪が築かれていった、第一歩ではないかと思っております」

【がんばろうコール】
「2028年、神楽、ユネスコ無形文化遺産登録を目指して、頑張ろう!おー!」

少子高齢化で継承が難しい地域もある中、この神楽が大好きな少年が熊本市にいます。

千田 栄樹 君、小学5年生です。

(2023年8月/熊本市西区・北岡神社)
初舞台はおととし8月、9歳のときでした。

【千田 栄樹 君】
「面を着けたら、神様になれるところがかっこいい」

『火の国神楽』を名乗り、神社の祭りなどで舞を披露しています。

【千田 栄樹 君】
「うれしかった。ステップがちょっときつかった。かっこよく踊れる舞い手になりたいです」

【母・洋子さん】
「もうちょっと工夫して、皆さまに楽しんで見ていただければいいなと思いました」

(自宅にある自作神楽グッズ)
道具は、栄樹君の手作り。衣装はほとんど、母・洋子さんが作っています。栄樹君は熊本県内の神楽の団体に所属しているわけではなく、母・洋子さんと二人三脚で活動中です。

「大勢のお客さんがいる神楽のイベントで舞いたい」
そんな栄樹君の思いが去年、宮崎県の日之影町に届きました。

町の『神楽まつり』に招待されたのです。

(栄樹君に名刺を渡す人物が・・・)

【日之影町宮水神楽保存会 甲斐三夫 会長】
「頑張ってよ。テレビで見たってよ。ものすごくうまいよ。おれは撮らんでいいっちゃ!」

【開会式】
「共演団体が熊本市から『火の国神楽』千田 栄樹 君といって、神楽大好き少年が来てくれます」

『日之影町神楽まつり』は、神楽をより親しみやすく、気軽に見てもらえるようにと
毎年秋に開催されています。

(準備中の千田親子)

【日之影町 教育委員会 社会教育係 佐藤 将仁さん】
「神楽を舞いたいけど、披露する場がないみたいな(ニュースの)特集を見て、『そうやったら、うちで舞ってもらった方がいいわ』と保存会の方がおっしゃって」

ユネスコ無形文化遺産への登録を目指す決起大会で、神楽を継承していく意義を関係者はこう語りました。

【全国神楽継承・振興協議会 後藤 俊彦 会長】
「この日本の神楽はあらゆる混乱、混迷の世にあっても、人々の祈りと力で必ず明るい世界が帰ってくる。それは喜びと笑顔に満ちた素晴らしい世界であると。これがひとつの全国4000とも5000ともいわれる神楽の趣旨であろうと思います。そして、これを継承する若者が集まることによって、さらに地域を再生させたい。この日本の神楽が世界に多く知られるということは我が国のためだけではなく世界のためにも意義のあることではないかと思っております」

(千田親子がイベント会場にやって来る)

【日之影町宮水神楽保存会 甲斐 三夫 会長】
「来たぞ! 頑張れよ! 頑張れよ! また俺、撮らんでいいっちゃ!」

(神楽面に手を合わせる栄樹 君)

(火の国神楽『五穀舞』が披露される)

【千田 栄樹 君】
「大舞台で舞って夢が叶ったので良かったです」

(そこに甲斐会長が来て、神楽の面をプレゼントする)

栄樹君に神楽の面をプレゼントしてくれました。

【日之影町宮水神楽保存会 甲斐 三夫 会長】
「なかなかいいじゃろう。所作がいいですね。今からどんどん練習していって、まだうまくなると思います。期待しています。頑張れよ。絶対、神楽をやめたらだめよ」
(うなずく栄樹君)

神楽が、もっと好きになりました。

お母さんと二人三脚で頑張っている栄樹君は6月5日が誕生日ということで、11歳になりました。

テレビ熊本
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