カビ毒には発がん性があるものも
ここで押さえておきたいのが、「カビ」そのものと「カビ毒」は違うものであるということだ。「カビ毒」という言葉自体、聞きなれない人もいるかもしれない。
「『カビ毒』とは、人間でいう老廃物のようなものでカビが食品などに取り付いて栄養を取って増殖するとき、化学反応を起こして出す代謝物のことです」
中には毒性が非常に強いものもある。
「人体に悪影響を及ぼすカビ毒は300種類ほどあると言われていますが、最も警戒しなければいけないのが『アフラトキシン』と呼ばれるカビ毒です。穀類、ナッツ類、乾燥果実で増殖する一部のカビから産生され、発がん性を持っているのが特徴です。特に輸入食品では注意が必要です」

アフラトキシンがもたらす健康被害は、肝障害だ。食中毒のように急性的な症状ではなく、あくまで長期的に摂取するとみられる症状ではあるものの、肝臓がんの発生率とアフラトキシン摂取量には関連性があると報告されている。
「他にも、例として麦類やトウモロコシ等の穀物に増殖するカビが産生するデオキシニバレノールやゼアラレノンは、消化器官障害や免疫機能抑制作用があるとされています。コーヒー豆や穀類、香辛料等で増殖するカビが産生するオクラトキシンは腎障害を及ぼす危険があると考えられています」
見た目で判断しにくい
カビが発生した場合は、食材に限らず捨てたほうが安全であることがわかった。見分け方も知っておきたいところだが…。
「明らかにまとまってカビが生えている場合を除き、目視だけだとカビかどうかを判断するのは難しいです。ちょっとした黒いポツポツの場合、100倍くらいの顕微鏡で見てみないと、それが原材料由来なのかわかりません。あやしいと思ったら口にしないことがベストです」